知の泉

地方都市で子供に携わる仕事を、20年くらいやってます。受験・子育て・教育に関することやその他自分の知的好奇心をくすぐった話題を呟いています。時々自分で食べて美味しかったもの、これ欲しいなあというものも呟いたりしてます。

福井県立高校入試、英検の取得級で加点の優遇へ ~何が問題なのか?~

福井県立高校入試、英検の取得級で加点の優遇へ

福井県では、現在の中学3年生が受験する2018年度の県立高一般入試から、英語の学力検査で実用英語技能検定(英検)の取得級に応じて点数を加算することになっています。英語の学力検査は3級取得者に5点、準2級10点、2級15点を加算し、115点満点となります。英検取得者は最大15点のアドバンテージがあり、合否ラインギリギリの点数では、ほんの数点の差に生徒が集中することもあることを考えれば、合否への影響は決して小さくないと思われます。

英検の取得級で加点の優遇は、何が問題なのか?

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では、なぜ今福井県の公立高校の英検加点の優遇が問題となっているのでしょうか?

 

①なぜ、数学検定、漢字検定ではなく英検だけ加点なのか?

今までも、特に私立の高校の場合には、英検の取得級に応じて加点の優遇をする高校は多くあります。しかし、多くの場合は、英検だけではなく、数学検定・漢字検定にも加点の優遇があります。また、今までも、スポーツ等で活躍した生徒に、入試で何らかの優遇措置があったりします。私立高校だろうが公立高校だろうが、各高校が「自分の高校が求める生徒像」を踏まえ、英検に加点、数検に加点、といった入試制度をとることには問題ないのではないかと思います。しかし、「公立の高校が一律に全て」英検のみに加点する、という措置は、ひょっとしたら「英検という巨大な利権構造」に何らかの関係があるのではという疑いの目が向けられる可能性はあり得ます。 

 

②英検準2級、英検2級のレベルは?

英検準2級は高校中級程度、英検2級は高校卒業程度のレベルと言われているため、少なくて公立中学の授業内容だけでは学習が不足するため、必然的に英検対策をするための塾通いが多くなると考えられます。住んでいる場所によっては、近隣にそういう塾があるところ、ないところもあるでしょうし、そもそもそういった塾通いができる家庭環境の生徒とそうでない生徒に格差が生じてしまうのではないかという問題があります。

③中学の英語の授業はどうなるのか

上記と重なる部分はありますが、中学の生徒が、自分の学力に応じて「英検3級」「英検準2級」「英検2級」と受ける生徒が混在している中、英検の日程が近い時期の中学の英語の授業はどうなっていくのでしょう? 淡々と英検など意識せずに授業を行い、生徒は寝ているか、英検対策の内職をすることになるのでしょうか? あるいは多少英検のことを意識して対策してあげようと中学の現場が思えば、受験の級ごとにクラスを組み替えたりして授業を行うことになるのでしょうか?いずれにしても現場の混乱は大変なものだと思います。

 

来年以降の新高校生の2020年度大学入試「大学入学共通テスト」でも同じことが問題に

このブログでも再三、2020年度からの「大学入学共通テスト」の問題点を指摘してきましたが、福井県の英検加点優遇の問題点は、「大学入学共通テストの英語の扱い」の問題の縮図でもあります。

・英語の外部試験を十分に対策して受験できる生徒とそうでない生徒の格差は生じないのか

・気づかないうちに、英語の外部試験を行う団体に巨大な利権構造が生れたりしていないか

・英検の「高校での自校会場受験」での公正さは担保できるか

・高い評価を求める大学を受験する場合に「大学中級程度レベルの準1級」を受験する生徒を想定した場合の高校現場での対応はどうしていくのかという現場の混乱は生じないか

 

まさに、現在の福井県の高校入試における英検の問題は、来年高校に入学する生徒以降の「大学入学共通テスト」の問題と重なってみえます。そういった意味で、今回の福井県の公立高校入試の動向・結果は、注目してみていかないといけないと思います。

 

kasikoi.hatenablog.com

 

福井県県立高校入試 英検点数加算の続報

福井新聞H29年8/5の記事より転載~

以下福井県県立高校入試 英検点数加算の続報

 

  『福井県の現在の中学3年生が受験する県立高入試から実施される実用英語技能検定(英検)3級以上取得者への点数加算措置について、福井県教育委員会(県教委)は4日、英検取得級による加点は変更しないが、英語の試験点数と加点の合計の上限を100点とし、100点を超える分は加算しないとするなどの見直し案をまとめ、県中学校長会と県議会に説明した。

 加点措置を巡っては県議会が6月定例会で見直しを求める意見書を可決。県教委は「意見書を重く受け止める」とコメントしていたこともあり、対応が注目されていた。県教委は今月中旬にも県教育委員会の会合を開き、正式決定したい考え。

 関係者の話を総合すると、見直し案は英検3級取得者に5点、準2級10点、2級以上15点の加算は変えないが、見直し前は試験100点と最大15点の加点で事実上115点満点だったのを100点満点とした。県教委は変更理由を、英検資格の有無にかかわらず満点が取れるようにしたと説明したという。

 このほか見直し案として、県教委主催の英検講座を9月に県内の複数箇所で実施する計画を示し、英検のための塾通いなど家庭の経済的、地理的な格差の解消を図るとした。』

 

う~ん、これもやはり、「なぜ英検だけ加算で、数学検定や漢字検定は加算でないのか」「高校レベルの英語力が求められる2級や準2級の学習を中学生に強いることにはならないのか」の答えにはなっていないと思う。

そもそも「県教育委員会の英検講座を数回受けただけで」対策になるのか? 「県教育委員会の英検講座」なるものが結局、塾や予備校の講師に丸投げになったりして、更なる利権の一つになったりしないのか? 問題・課題は続きそうな気がするので、更に注目していきたいと思う。

 

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