英語民間試験「中卒程度(A1)」で出願可~それなら英語民間試験使わないって選択をして欲しい~毎日新聞を読んで
毎日新聞2019/5/8付で、『国立大13校、英語民間試験「中卒程度(A1)」で出願可』という見出し。
帯広畜産大、宮城教育大、横浜国立大、上越教育大、金沢大、福井大、京都教育大、徳島大、香川大、愛媛大、高知大、福岡教育大、熊本大の13校(一部の学科のみを含む)が2021年度入試で、英語外部民間試験で一番下のレベルの「A1」を出願資格とするというものです。
英語民間試験(A1)ってどんなレベル?
一般になじみが深いと思われる英検でいうと、A1というのは、英検準2級(高校中級程度)には合格できないレベルです。
中学校卒業程度と言われる英検3級に合格するか、場合によっては英検3級にギリギリ不合格でもA1レベルに認定される、そういうレベルです。
最近は中学生でも頑張って勉強すれば、結構英検準2級、2級に合格したりしますから、A1が大学受験の出願資格っていうことに驚かれた人もいるのかもしれません。
あるいは、「A1が出願資格って、最近の大学はどれだけレベルが下がっているんだ」と思った人もいるでしょう。
毎日新聞の記事には
A2以上を出願資格とすると、英語以外の教科が得意で従来なら合格点に達していた生徒が受験できなくなる恐れもある。13校は民間試験の利用が受験生の門戸を狭めてしまうことを懸念したとみられる。
とあるので、なおさら「最近の大学のレベルはどうなっているんだ?」と思ったことでしょう。
しかし、その13校は本当にそのような理由で「出願資格A1」としたのでしょうか?
はっきり言うと、上記の国立大に少なくても一般入試で合格していく生徒は、現在のセンター試験、2021年度であれば大学入試共通テストで、ある程度の得点を取るような生徒であり、少なくても英語の力がA1レベルの生徒は皆無に近いのではないでしょうか。
金沢大学、横浜国立大学に合格する生徒で、もし英語の力が本当にA1の生徒がいたら驚きです。
国大協のガイドライン(平成 30 年 6 月 12 日)によると、英語外部試験の活用については、以下のように記載してあります。
新テストの枠組みにおける認定試験結果の活用については、各大学・学部等の方針に基づき、次の方法のいずれか、または双方を組み合わせて活用することを基本とする。
① 一定水準以上の認定試験の結果を出願資格とする。
② CEFR による対照表に基づき、新テストの英語試験の得点に加点する。
(参考)
https://www.janu.jp/news/files/20180330-wnew-guideline.pdf
②のいわゆる加点方式だと、「異なる外部民間試験をどうやって公平公正に比較加点するのか」という最大の問題が残っていますから、上記の大学はガイドラインは守りつつ、弊害を避ける苦肉の策として「出願条件方式」、しかも流石にそれ以下はダメだよねというA1を条件にしたのではないでしょうか。
決してそれらの大学のレベルが低いということではないと思います。むしろ問題点が数多く残ったまま「加点方式」に突っ込んでいく大学よりはまだ良心的だとも感じています。
英語民間試験「中卒程度(A1)」で出願可の問題点
現在の高校2年生ですでに英検準2級、あるいは英検2級に合格している生徒も数多くいます。
彼ら、彼女らは、もし上記の大学を受験するのであれば、もう一度高校3年生の時に同じ級(あるいは最悪下の級でもいいのですが)を受験しなければいけないことになります。
自腹で、安くない受験料を払ってです!加えて高校現場では英検・GTECなどの対策問題集を購入させられたりしてです!
そういう不都合も生じているのです。
英語民間試験「中卒程度(A1)」で出願可とするなら、
東北大学などのように、英語民間試験使わないって選択をして欲しかったですし、またこれからでもそういう勇気を持って欲しいと強く願います。
以上、英語民間試験「中卒程度(A1)」で出願可という毎日新聞等のニュースを読みながら思ったことをつらつらと書いてみました。