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現在授業料免除・減額の東大生の2人に1人は来年支援額が減少⁉~大学無償化で逆に負担増のショック~
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前回2019/9/20のブログで、来年4月から導入される低所得者層を対象とした「大学等就学支援法」で、今まで大学独自の裁量で授業料免除・半額免除になっていた人で、来年以降授業料の負担が増加する見通しであることが文部科学省の調査で分かったということについて書きました。その続報です。
なんと、現在授業料免除・減額の東大生の2人に1人は来年支援額が減少する可能性があるというのです。
東大にも影響を聞きました。現行の授業料免除制度の支援対象人数は586名、新制度の導入により、支援額が減少する人数は308名(うち、支援を受けられなくなる人数は180名)。現1〜3年生でみても248名が減免打切りもしくは縮小。新制度がカバーしない部分は、現行の授業料減免制度も存続させるべき
— 宮本徹 (@miyamototooru) September 27, 2019
宮本徹議員の上記tweetによると、東大生で現行の授業料免除制度支援対象者は586名。新制度の導入により支援が減少する人数308名(うち支援を受けられなくなる人数は180名)とのこと。
大学等就学支援法(通称大学無償化法)で、逆にこれだけ多くの、現在授業料免除・減額になっている学生が、来年逆に負担増になるというのです。
ボーッとしていたら、「えっ⁉家庭の収入が変わっていないのに今年は授業料免除にならない!」という学生が全国で1万9000人もでるのですよ。
現在授業料免除・半額免除の人が「大学無償化法」で逆に負担増に!ってどういうこと?
どういうことなのか簡単にまとめます。
★現状授業料が全額免除・半額免除の学生で、今回の「大学等就学支援法」の枠からはみ出て、支援の対象から外れる人が出るのでは?という文教委員会での質問に対しての文科大臣の答弁
「各大学がそれぞれの基準で授業料減免を行っているので文部科学省が一律に何かは言えない」
「新制度で対象にならない、既存の支援を受けている学生も生じうる」
「夏までに精査していきたい」
以下、以前のブログをリライトしてこの問題をもう少し詳しく掘り下げてみます。
2019年5月10日「大学等就学支援法」が衆議院で可決成立しました。
これで2020年4月から、世帯収入に応じて、大学等の入学金・授業料が支援されるだけではなく、返済不要の給付型奨学金がもらえることになります。
支援の金額等は以下のようになっています。
高等教育の無償化制度での支援額
国公立 | 私立 | |||
授業料 | 入学金 | 授業料 | 入学金 | |
大学 | 54万円 | 28万円 | 70万円 | 26万円 |
短期大学 | 39万円 | 17万円 | 62万円 | 25万円 |
高専 | 23万円 | 8万円 | 70万円 | 13万円 |
専門学校 | 17万円 | 7万円 | 59万円 | 16万円 |
給付型奨学金(いずれも年額)
自宅生 | 自宅外生 | |
国公立 | 35万円 | 80万円 |
私立 | 46万円 | 91万円 |
上記いずれも世帯年収によって3段階で支援する
①住民税非課税世帯(年収270万円未満) | 全額支援 |
②年収270万円~300万円未満 | 非課税世帯の3分の2を支援 |
③年収300万円~380万円未満 | 非課税世帯の3分の1を支援 |
これは、すでに在学生の人、2浪までの浪人生、そして合格後2年の間までの高卒認定生も対象となります。
大学無償化 従来授業料が免除されたり半額免除等の在学生はどうなるのかという問題
従来までも、国公立大学中心に、一定の水準の世帯収入の場合、授業料が全額免除されたり半額免除になっている学生がいます。
引用元
http://www2.he.tohoku.ac.jp/menjo/files/date_tution_waiver.pdf
上記は東北大学の場合ですが、結構世帯年収が400万、500万くらいでも授業料全額免除になっていることが分かります。(この辺は大学によってだいぶ変わるらしいです)
低所得者の大学等の授業料の負担軽減の法律が成立しました。「無償」の基準(非課税世帯、家族4人で270万)が多くの国公立大学の全額免除基準より狭いため、いま授業料が免除されている人が全額負担になるケースがでます。対策が必要です。各国公立大学授業料免除一覧→ https://t.co/Oshz7CIUzg
— 宮本徹 (@miyamototooru) May 10, 2019
他の大学の授業料免除の目安については上記tweetからのリンクが参考になります。
問題点は、大学等就学支援法が成立したことで、今回支援の対象にならない世帯年収400万、500万といった従来であれば授業料が全額免除とか半額免除になっていた人たちが、弾き飛ばされてしまう恐れはないのかということでした。
蓮舫議員のtweetでもそういった懸念が実際にあるという問題点が指摘されています。柴山文部科学大臣も「対象とならない学生も生じうる」と認めています。
やはり、今回の大学等就学支援法が成立したことで、従来は授業料免除・半額免除の対象だった人で逆に大きな負担を強いられる人がでるということです。
今回の大学無償化法案で、支援の対象からはみ出る年収400万円、500万円の世帯で、現在授業料免除あるいは半額免除になっている人たちは、4月以降「自分たちは授業料どうなるんだ?」という心配で一杯のはずです。
現在支援減免を受けている学生が制度の対象外になるという懸念に対して、柴山大臣も国会で「対象とならない学生も生じうる」とお答えになっていますから、不安に思うのも当然です。
さらに、財務省歳出改革部会の資料を見ると、不安はさらに大きくなります。
歳出改革部会(令和元年5月16日開催)資料
(参考) 財務省 ⽂教・科学技術 資料2 令和元年5⽉16⽇
歳出改革部会という位ですから、「歳出をどう改革」するかという会議だと思います。
上記の資料の一番下の灰色の三角形部分=授業料減免
これを財務省は、点線の赤(1)(2)にする、あるいはしたいということだったんですね。
この、従来の授業料減免対象の学生で「来年授業料減免の対象とならない」可能性がある人が1万9000人もいるということです。
今回の大学無償化法で、従来大学進学をあきらめていた層が大学等に進学できる可能性はあると思います。
しかし、一方で世帯年収400万~600万円程度の世帯年収の人にとってはメリットどころか、来年以降勉強を続けられるかどうかの瀬戸際でもあります。
長年、高校生とも一緒に勉強してきていますし、自分自身でも子供を2人県外に進学させています。年収400万、500万くらいの世帯の層の学生が、自宅を離れて進学すると本当に大変です。
親の収入の面で大学進学をあきらめざるを得ない人たちからすれば、大学に進学できるだけ恵まれているという批判も甘んじて受けないといけないとは思います。
でも、授業料を減免してもらい、不足分は有利子の奨学金に頼り、数百万の借金をかかえてようやく卒業に至るということも珍しいことではありません。
本当は、大学等の授業料全般を見直してもらうことが希望ではありますが、少なくても現在授業料減免の対象になっている学生が、来年4月以降、制度から押し出されて授業料減免の対象外になることは避けて欲しいと切に願います。
※参考 2019/5/22の衆議院文教委員会で城井議員質問に対する柴山大臣の答弁。
「各大学がそれぞれの基準で授業料減免を行っているので文部科学省が一律に何かは言えない」
「新制度で対象にならない、既存の支援を受けている学生も生じうる」
「夏までに精査していきたい」
そして「夏まで精査」した結果が、
共同通信の報道「低所得世帯を対象とした高等教育の修学支援制度で、国立大に通う学部生のうち約1万9千人は授業料の負担が増加する見通しであることが20日、文部科学省の調査で分かった。」ということなのでしょう。
このまま何も政府・文科省が手を打たなければ、現在授業料の減免措置を受けている学生1万9000人が、来年以降授業料負担が増し、最悪の場合学生を続けられなくなる人が出る可能性があります。文科省も、「各大学がそれぞれの基準で行っていることだから・・・」という姿勢ではなく、予算の裏付けをしたうえで「現在既存の授業料減免措置を受けている学生が、不利益を被らないように各大学へ通達します」といった宣言をしてもらえることを再度強く願います。
以上、【大学無償化法】で、現在授業料免除・減額の東大生の2人に1人は来年支援額が減少⁉という大きなニュースについてでした。