英語民間試験 疑問・質問に政府はどう答えたか~山井和則議員の質問主意書と政府答弁より~
英語民間試験は公平性が確保されていないため実施を延期すべきという山井和則議員の質問主意書に対する政府答弁が閣議決定され、公表されました。
予想通りとはいえ、あまりにも質問していることに対して正面から答えていないことを記録と記憶に残しておくために、ブログに残しておくことにしました。
英語民間試験は公平性が確保されていないため実施を延期すべきこと等に関する質問主意書
提出者 山井和則
政府は、二〇二〇年四月から、民間の英語資格・検定試験(以下、英語民間試験という。)を活用して、大学入試で英語の四技能を評価することを支援する「大学入試英語成績提供システム」の運営を開始しようとしています。
そこで以下の通り、質問します。
一 英語民間試験に対しては、受験料が高く、対策の問題集や講座も高く、そのため低所得家庭の生徒に不利と、強く批判されています。政府は、英語民間試験の大学入試への導入が、低所得家庭の生徒に不利との認識はありますか。
五 英語民間試験で良い成績を得るには、その試験業者が作成した対策問題集を買ったり、その業者の開く講座を受講したほうが有利となると考えられます。英語民間試験は、今まで以上に費用がかかるため、低所得家庭の生徒に不利、高所得家庭の生徒に有利ではないですか。
二 受験料の軽減のためには、いくつかの英語民間試験業者が五パーセントや十五パーセントの軽減をすると発表していますが、全く不十分ではありませんか。政府の見解を示して下さい。
三 受験料の軽減をするかしないか、どれくらいの軽減をするかは、それぞれの英語民間試験業者に決定権がありますか。それとも文部科学省に決定権がありますか。もし英語民間試験業者が、受験料の軽減を全くしないと決定した場合、文部科学省は強制力を持って、軽減するように変更させることは可能ですか。
四 七種類の英語民間試験の中には、受験料が二万五千円、二回で合計五万円と高額な試験もあります。低所得家庭の生徒が二回で合計五万円もの受験料を払うことは困難ではないですか。政府の見解を示して下さい。
六 英語民間試験の会場は都市部が多いため、試験会場にアクセスするための交通費や宿泊費が高い地方や田舎の生徒に不利ではないですか。離島の生徒には、受験のための交通費や宿泊費の補助はありますか。もし、あるなら、それは離島の生徒の何割くらいが、いくらの補助を受けられますか。また、離島以外の地方に住む生徒には受験のための交通費や宿泊費の補助はありますか。
七 試験会場が遠く、また、交通費や宿泊費の補助を受けられない地方の生徒にとっては、英語民間試験は、都市部の生徒に比べて不利ではないですか。
八 一から七までで指摘したように、英語民間試験は、低所得家庭や地方の生徒に不利であり、高所得家庭の生徒や都市部の生徒に有利、との批判が強いですが、これは憲法第二十六条第一項「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」の理念に反し、憲法違反のおそれがあると考えますが、政府の見解を示して下さい。
十四 英語民間試験の受験を必須としていなくても、民間試験を受験したら、試験結果が点数化、加点される大学が多数あります。それならば、お金をかけ、民間試験を受験した生徒が有利となり、高校三年生になる前からお金を払い、何度も民間試験を受験した生徒が、試験に慣れて、高得点を得やすく、有利になりませんか。このような状況は、憲法第二十六条の教育機会の均等に反する憲法違反ではありませんか。
九 英語民間試験は、受験者が希望した試験会場で受験することができますか。実際、申込み受付開始後二分で満席になった試験会場もあります。第一志望の試験会場で受験できる生徒は、何割くらいと想定していますか。過半数の生徒は第一志望の試験会場で受験できると想定していますか。
十 七種類の英語民間試験のうち、試験終了後に入試問題が公表される試験を明示して下さい。
十一 国立大学等での出題ミスの深刻な事案を受け、文部科学省は、二〇一九年六月四日に、全国の大学に入試問題と模範答案の公表を求めました。大学には入試問題の公表を求めている以上、同様に英語民間試験業者にも、問題の公表を文部科学省は求めていますか。もし求めていないなら、なぜ求めていないのですか。また、入試問題が公表されないなら、出題ミスも発見できないと考えるが、問題ではありませんか。政府の見解を示して下さい。
十二 英語民間試験の会場が高校になっている場合もあるが、その場合、高校教職員が事前や当日の準備や協力を求められたりすることはありませんか。高校教職員の土日出勤や業務が増えたら、労働時間が増え、働き方改革と矛盾、逆行するのではありませんか。
十三 英語民間試験の会場が高校になる場合、当該会場での受験申し込みの受付に際し、その高校の在校生を他校の高校生より優先して申し込みの受付を行ってもよいのですか。もしそれが禁止されないなら、当該高校に通学している生徒が有利になり、不公平ではありませんか。
十六 英語民間試験業者が試験実施場所として高校を確保する場合、当該高校に通学する受験生については、申し込みがあればすべて受験可能とする一方、当該高校以外に通学している受験生については、受験できるか否かが抽選により決まるのであれば、希望する会場で受験できるか否かという点で不公平が生じることは問題ではありませんか。政府の見解を示して下さい。
十五 英語民間試験会場で、視覚障害者や車椅子の障害者をはじめ、障害者が受験できるための配慮をすることについては、民間業者に責任があるのか、それとも文部科学省に責任がありますか。もし会場によって、障害者が受験できなくても、それが民間業者の最終判断であれば、文部科学省が強制力を持って障害者が利用できる会場に変更し、あるいは会場の設備等を改変させることは可能ですか。
十七 以上述べたあまりにも多くの問題点があるので、英語民間試験の導入は、延期すべきではありませんか。政府の見解を示して下さい。
※結局、何が何でも実施するということなのですね・・・
英語民間試験は公平性が確保されていないため実施を延期すべきこと等に関する質問主意書
政府答弁⇒
本当は、こっちも政府答弁の概要を打ち込もうと思ったのですが、あまりに正面から答えていないので、質問の方だけ。
英語民間試験が大学進学を目指す高校生の選択の幅を狭めているため実施を延期すべきこと等に関する質問主意書
提出者 山井和則
政府は、二〇二〇年四月から、民間の英語資格・検定試験(以下、英語民間試験という。)を活用して、大学入試で英語の四技能を評価することを支援する「大学入試英語成績提供システム」の運営を開始しようとしています。
そこで以下の通り、質問します。
一 英語民間試験は、高校三年生の四月から実施されるので、事実上、高校三年生の四月から大学入試が始まることになります。英語民間試験の準備と、部活動の大会や学校行事が重なると高校三年生の高校生活に支障が出ますが問題ではありませんか。政府の見解を示して下さい。
二 高校三年生になってから大学進学を目指すことを決意した場合、英語民間試験を受験するための手続きのスタートが遅れ、状況によっては一回しか英語民間試験の受験機会が得られないことが考えられ、英語民間試験の存在が高校三年生の人生の選択の幅を狭めてしまう可能性があります。こうしたケースについての政府の見解を示して下さい。
三 今の高校三年生がもし浪人した場合、不合格と決まった来年三月以降に、四月以降の英語民間試験に、すでに二〇二一年度の大学入試に向けて英語民間試験の準備をしている今の高校二年生と同様に、希望する試験会場に申し込み、受験することは可能ですか。
四 三について、もしそれが不可能であり、不合格が決まった後の英語民間試験の申込みでは、今の高校二年生に比べて、試験会場の選択等の面で不利あれば、今の高校二年生と対等の条件で来年四月以降の英語民間試験を受験するためには、現在の高校三年生は来年三月までの大学入試の合否が決まる前に、念のため英語民間試験に申し込む必要がありますか。
五 三について、もし現在の高校三年生が念のため、英語民間試験に申し込み、予約金を払った場合、大学に合格したら、当該生徒は予約金の返金を求めるが、予約金は返金してもらえますか。もし民間業者が、予約金を返金しない、との方針を決めたら、文部科学省は、業者に予約金の返金を強制することはできませんか。
六 五について、現在の高校三年生が、合格した後、もし予約金が返金してもらえないなら、多くの高校三年生に無駄な出費を強いることになり、制度として問題ではありませんか。政府の見解を示して下さい。
七 英語民間試験の活用を実現するためには、各大学の利用状況、各英語民間試験の日程・試験会場の情報を容易に検索できるシステムの整備も必要です。しかも、そのシステムは、全ての受験生が特別な負担なくアクセス可能なものでなければなりません。そのようなシステムの構築・整備の予定はありますか。また、そのようなシステムの構築・整備は、二〇二一年度の大学入学(二〇二一年四月入学)を目指す受験生はいつから利用できますか。
八 英語民間試験の結果を利用することの代替策として高校の校長の証明書を提出する場合に、校長が証明書の発行を拒否することはできますか。もし拒否できるのであれば、その場合高校生が証明書の発行拒否に対する不服を申立てる制度はありますか。また、既卒者が証明書の発行を依頼することは、どのような手続きを行い、依頼すれば証明書は必ず発行されますか。証明書が発行されないケースがあるとすれば、どのような状況が想定されますか。
九 共同通信社の報道によれば、文部科学省が公表した「各大学における大学入試英語成績提供システムの活用予定状況」を分析した結果、「成績を出願資格として利用する国立大五十三校のうち過半数となる二十九校は、成績が中学卒業レベルやそれ以下でも出願を認める方針」であるとのことですが、これが事実であれば、当該二十九校の大学入試で英語民間試験を受験する意義は、受験生に受験料を民間試験の実施者に払わせることだけであり、無駄ではありませんか。
十 高校二年生で、公益財団法人日本英語検定協会が実施している英検二級に合格している生徒について、その結果は、高校三年生の大学入試の受験の際に有効となりますか、それとも無関係ですか。
十一 英語民間試験では、高校二年生までに英語民間試験を受験して獲得したスコアや等級が大学入試とは無関係で、再度の受験を求めることは、受験生側に必要以上に費用負担を求め、英語民間試験の事業者に必要以上に利潤を得させることになりませんか。政府の見解を示して下さい。
十二 公益財団法人日本英語検定協会が実施している英検は、すでに今年度、大阪会場は締め切っていますが、来年度は、英検の大阪会場が絶対に満席にならないと、文部科学省は責任を持つことはできますか。
英語民間試験が大学進学を目指す高校生の選択の幅を狭めているため実施を延期すべきこと等に関する質問主意書
政府答弁⇒