知の泉

地方都市で子供に携わる仕事を、20年くらいやってます。受験・子育て・教育に関することやその他自分の知的好奇心をくすぐった話題を呟いています。時々自分で食べて美味しかったもの、これ欲しいなあというものも呟いたりしてます。

【高校入試範囲はどうなる】文科省が教育委員会に「高校入試で、コロナの影響を考慮するよう求める通知」

【高校入試範囲はどうなる】文科省が教育委員会に「高校入試で、コロナの影響を考慮するよう求める通知」

news.tv-asahi.co.jp

 

以下報道によると 

 

文部科学省が13日午後6時ごろ、来年の高校入試で、新型コロナウイルスの影響を考慮するよう求める通知を全国の教育委員会などに出した。

文科省が出した通知では、来年の高校入試では今年度に学ぶ内容からの出題を減らしたり、学力検査以外にも面接や作文で選考を行うことなど具体的な例を示して工夫を求めている。地域ごとに休校期間が違うなど学習の進み具合にばらつきが出ると予想されるため。

小学校や中学校の入試でも同様の工夫をするよう求めている。

 

まだ、文科省のHPなどに通知が公表されておらず、一次情報は確認できていませんが、以下、高校入試出題範囲・問題がどうなるのか、どう変わるのか考えてみます。

 

確かに、長い地域だと3か月学校が休校で、まともに中3の学習が始まっていない生徒もいます。

 

オンラインでの授業が多少なりとも行われている中学校もあるのでしょうが、中1や中2の復習プリントや冊子を渡されてそれをやっておくようにという指示で終わっている中学校も数多くあるのが現実です。

 

そういった中で、「来年の高校入試までに単元の学習が全て終わらないのでは」と不安に思う受験生、保護者も多いと思います。

 

そういった中で、今回文科省から「今年度に学ぶ内容からの出題を減らしたり、学力検査以外にも面接や作文で選考を行うことなど具体的な例を示して工夫を求める」という通知が出されたわけです。

【高校入試範囲はどうなる?・どう変わる?】各都道府県教育委員会の考えられる対応

では、それを受けて、各都道府県教育委員会がどのように対応して、それを発表し、高校入試の範囲はどのようになる可能性があるのでしょうか。

 

①公立高校の入試範囲で削減の具体的単元を各都道府県教育委員会が示すというケース

例えば、公民の「経済分野や国際社会」数学の「三平方の定理」理科の「天体」英語の「関係代名詞、後置修飾」など、中3の最後の方で学ぶ単元を公立高校入試の範囲から削減するといった具体的な内容が発表されるケースです。

 

これは、中3生徒にとっては、学校が今後再開され、今までの遅れた分を時間をかけてじっくりと学習できるし、中学の先生もじっくりと指導できるというメリットはあります。

 

高校受験の中3生にとってはホッとするケースなのかもしれません。

 

一方でこれは、「定められた義務教育の内容を学習しないで卒業する中学生が生じる」ということも意味します。(高校入試の範囲じゃないところを勉強しようって気にはなりませんから。)

 

果たしてそれで良いのかという重大な問題となります。

 

また、都道府県によって学習していない単元がある新高1生と、そうでない新高1生が生まれることになり、将来的には大学入試にも影響を与える可能性があります。

 

「中学で三平方の定理も関係代名詞や後置修飾を学んでいない状態の高校1年生」に、高校現場でどうやって指導をしていくのかと思うとゾッとします。

 

そういう意味では、各都道府県の教育委員会の対応としては最も考えづらいケースだと思います。

 

②「公立高校の入試出題範囲・問題は現状を考慮する」というあいまいな発表を各都道府県教育委員会がするケース

①のように、具体的に高校入試の削減単元は明示せずに「公立高校の入試出題範囲・問題は現状を考慮する」とあいまいな発表をするケース。

 

これは、受験生にとっても学校現場も(塾業界も・・・)非常に困ったことになります。

 

「考慮する」と言われても、

「じゃあ、中3の最後の方の単元は出題されるのか?」

「多分出題されないから勉強しなくても良いのか?」

「考慮だから、出題される可能性はあるのだからやっておかないといけないよな・・・」

 

様々な憶測が飛ぶことが予想され、混乱を招く可能性があります。

 

③「公立高校の入試出題範囲・問題」についての都道府県教育委員会の発表がズルズル遅くなるケース

①の対応にしても②の対応にしても、ひょっとしたら都道府県教育委員会によってはその対応方法の発表がズルズルと先延ばしになることがあるかも知れません。

 

これが中3受験生にしても、中学校の現場にしても最悪のケースです。

 

学校再開後の学習スケジュールをどうしたら良いか全く計画が立てられません。

 

現状を考えると、各都道府県によって休校の状況が異なるのですから、各都道府県の教育委員会によって対応が分かれるのは仕方のないことなのかもしれません。

 

しかし、せめて文部科学省から「高校入試で、コロナの影響を考慮するよう求めます。その対応は〇月〇日をめどに各都道府県教育委員会から発表・周知徹底に努めること」という位はやって欲しかったと思っています。

 

いずれにしても今後、各都道府県教育委員会から高校入試の出題範囲や出題方針といったものが出されていくことになります。自分の都道府県の発表に注意していかなくてはいけませんね。

 

一方で、仮に各都道府県教育委員会で公立高校の出題が考慮されるとなっても、私立高校の問題は、ある意味関係ありません。(今までも、中学の内容からははみ出た出題もありましたし・・・)

 

公立高校受験の生徒と私立高校受験の生徒が混在するような地域・中学校では今まで以上に指導が難しくなる可能性も指摘しておきたいと思います。


「高校入試で、コロナの影響を考慮するよう求める通知」は「9月入学断念」へ文科省が舵を切ったということか?

ここからはさらに個人的憶測です。

 

文科省からこういった通知を受けて、各都道府県教育委員会は、その方針に沿った高校入試問題の作成に取り掛かる(もしくは始めていた作業に変更を加える)ことになります。

 

今後、もし仮に、検討されているという「9月入学」に変更になれば、

今度は「コロナの影響を考慮しない高校入試問題作成」に再度変更を余儀なくされます。

 

今回「高校入試で、コロナの影響を考慮するよう求める通知」を出したということは、少なくとも文科省の中では、「9月入学」は断念し、現状の4月入学を維持しようという方向に舵を切ったのではないかと個人的には推測しています。

 

ある意味、文部科学省からの「高校入試の範囲は考慮するから、9月入試はナシで4月入学維持で行きましょうね」というメッセージなのではないかと思っています。

(まだ、大学入試、とりわけ共通テストの出題範囲はどうするのかという問題が残っているのですが。)

 

この9月入学の件は、官邸・与党の意向で今後どうなっていくのかは注目していかなければいけませんが・・・

 

以上【高校入試範囲はどうなる】文科省が教育委員会に「高校入試で、コロナの影響を考慮するよう求める通知」でした。

 

5/15追記:文科省が教育委員会に出した「高校入試で、コロナの影響を考慮するよう求める通知」が枝野幸男議員の下記tweetから参照できるのでリンクを貼っておきます。

(枝野議員のtweetの5月3日は5月13日の誤りでしたね)