【薬剤師将来性は?供給が需要を上回る】薬学部入学定員抑制も検討すべき~厚生労働省「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」~
数年前、就職環境が良くなかった時期などは、薬剤師が『資格の取れる安定した職業』と考えられていたからか、特に理系女子で『薬学部志望です』という生徒がものすごく多かった記憶があります。
特に私立薬学部であれば、学費も高く、しかも6年。
それでも親と面談すると、
『子供は一人だし、将来のことを考えれば頑張りますよ』
という人もいたのを記憶しています。
一方で、
『国家試験合格率を高く見せるために留年率は高い』
『(特に低偏差値の薬学部では)6年で資格取って卒業する人の割合は5割もいないんじゃないか』
といった話も聞こえてきますが、大学公表のHPではよく分からない部分もあります。
検討会資料にあるような、
『国家試験の新卒合格率だけではなく、進級率や標準修業年限内での国家試験合格率など、教育機関としての質を示すために、大学側の都合がいい数字だけではなく、これらの情報を正しく示す必要がある。』
という部分は、今後しっかりと目指してもらった方がいいと思います。
検討会内容は、これから薬学部をめざす高校生、そして保護者の方も、薬剤師の将来性を占う大きな流れとして意識はしておいた方が良いかもしれません。
先日、行われた厚生労働省 第10回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会。
以下、備忘として残しておきます。
厚生労働省 第10回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会(ペーパーレス・Web会議)資料
令和3年6月16日(水)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000793400.pdf
(需給推計)
○ 変動要因を考慮すると、概ね今後 10 年間は、需要と供給は同程度で推移するが、将来的には、需要が業務充実により増加すると仮定したとしても、供給が需要を上回り、薬剤師が過剰になる。薬剤師業務の充実と資質向上に向けた取組が行われない場合は需要が減少し、供給数との差が一層広がることになると考えられる。
(入学定員)
今後、人口減少により大学進学者数が減少すると予測される中で、仮に現状の入学定員を維持した場合、次のような課題が生じる。
入学定員を充足していない大学や入試の実質競争倍率が相当低い大学がさらに増加する可能性がある。
入学者の学力の更なる低下により、卒業・国家試験合格が困難な学生が更に増える可能性がある。
将来的に薬剤師が過剰になった場合、薬剤師免許を取得しても、待遇面の問題を含め、十分な就職先の確保が困難となり、学生が薬剤師に魅力を感じなくなる可能性がある。(高校生が薬剤師に魅力を感じなくなると、希望する学生が減少し、学生の質の確保が更に困難になり得る)
今回の需給推計の精査を引き続き行うことが必要であるが、入学定員数の抑制も含め教育の質の向上に資する、適正な定員規模のあり方や仕組みなどを早急に検討すべきである。
○ 大学は、国家試験の新卒合格率だけではなく、進級率や標準修業年限内での国家試験合格率など、教育機関としての質を示すために、大学側の都合がいい数字だけではなく、これらの情報を正しく示す必要がある。薬剤師を希望する高校生が誤解しないよう、新卒合格率の数値や全国順位等をことさらに強調するのではなく、事実に即した情報をわかりやすく適切に公表すべき。併せて、文部科学省が示している様式にしたがった修学状況の公表は、大学 のホームページのわかりやすい場所で行うべき(新卒合格率を示しているのであれば同じ箇所に掲載する等)。
○ このような課題は、情報の公表だけでは解決にならず、留年や卒業延期が 多いことは、学生の質の問題もあり得る。入学試験において、単に定員確保 のため学生を合格させたり、定員の一部だけ優秀な学生を入学させようとしたりするのではなく、入学者受入方針(アドミッションポリシー)をあらかじめ受験生にきちんと示すとともに、修学状況などを理解させたうえで、薬学部で学ぶ意思を確認しておく必要がある。
以上、【薬剤師将来的には供給が需要を上回る】薬学部入学定員抑制も検討すべき~厚生労働省「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」~を備忘として