知の泉

地方都市で子供に携わる仕事を、20年くらいやってます。受験・子育て・教育に関することやその他自分の知的好奇心をくすぐった話題を呟いています。時々自分で食べて美味しかったもの、これ欲しいなあというものも呟いたりしてます。

高橋源一郎の飛ぶ教室3.11を聞いて思い出した【Our Town(わが町)の名台詞】"The least important day is the most important."

高橋源一郎の飛ぶ教室3.11を聞いて思い出した【Our Town(わが町)の名台詞】"The least important day is the most important."

毎週楽しみに聞いているNHKラジオ高橋源一郎の飛ぶ教室。

3.11放送の冒頭のお話。

まずはその引用です。

 

今日は2022年3月11日。東日本大震災から11年が経ちました。

あの日皆さんは何をしていらっしゃいましたか。

あの日の記憶は今も僕の中に鮮明に残っています。

とても寒い日でした。そして長男が保育園を卒園する日だったのです。

 

(中略)

 

午後からの謝恩会を前にしてぼんやりとしていた時

揺れ始めたのでした。

その揺れは徐々に大きくなって、かつて経験したことのないものになっていきました。

 

その瞬間

「この日だったのか」と思ったこともよく覚えています。

(中略)

 

けれども今日言いたいのは実はそのことではありません。

 

忘れることができない日付のある記憶があります。

けれどもその前日3月10日に何があったのかはまるで覚えていないのです。

 

きっと何気ない穏やかないつもの暮らしがあっただけでしょう。

 

そんな日々の積み重ねを僕たちは日常と呼んでいます。

 

そしてその日付のない日常の本当の大切さは突然日付のある記憶がやってくるまで分からないのかもしれませんね。

 

 

私はこの源一郎さんの冒頭のお話を聞きながら、

あるお芝居の台本の中のある名セリフのことを思い出していました。

 

それはOur Townは、Thornton Wilder(ソーントン・ワイルダー)の戯曲 Our Town(わが町)の主人公のセリフです。

【Our Town(わが町)】ってどんな話? あらすじと名台詞

 

【Our Town(わが町)】という劇を知らない人のために、少し長くなりますが、Our Townについて。

 

Our Townは、Thornton Wilder(ソーントン・ワイルダー)の3幕物の戯曲でピューリッツァー賞も受賞しています。

 

以下は、何年か前に受験生と一緒に読んだ英文と、Our Townの劇中の名台詞からです。

 

In Thornton Wilder's play,Our Town, a young woman dies and discovers that she has the opportunity to live one day of her life over again.

 

ソーントン・ワイルダーのOur Town で、若い女性(エミリー)は(出産中に)若くして死にましたが、人生の中でたった一日だけやり直せることになります。

 

この芝居のキーパーソンで、芝居の進行役でもある全能のStage Manager(舞台監督)は言います。 

“Choose the least important day in your life. It will be important enough.”

「でも、選ぶのは最も大切と思われない一日だよ。それですら十分大切な一日だから」

 

She chooses her twelfth birthday. When the day begins,her first reaction is an intense desire to appreciate evry moment greatly. "I can't look at everything hard enough," she says. Then, to her sorrow, she sees that the members of her family are not experiencing life intensly. In despair she says to her mother, "Let's look at one another."

 

エミリーが選んだのは、12歳の誕生日でした。その日が始まった時、彼女は一瞬一瞬を大切にしようと強く思ってました。(中略)ところが、悲しいことに、彼女が見たのは人生の一瞬一瞬を強く大切には過ごしていない家族の姿でした。がっかりして彼女は母親に言います。「もっとお互いのことを見ましょうよ!」

 

でも、エミリーは後に気づきます。

"The least important day is the most important."

「(一番大切とは思えない)何気ない一日こそが一番大切なんだわ」

 

“Good-by, Good-by, world. Good-by, Grover's Corners... Mama and Papa. Good-by to clocks ticking... and Mama's sunflowers. And food and coffee. And new-ironed dresses and hot baths...and sleeping and waking up. Oh, earth, you're too wonderful for anybody to realize you.”

さよなら、さようなら、この世界よ。さようなら。グローバーズ・コーナーズ……ママもパパも、さようなら。時計の音も……ママのヒマワリも。お料理もコーヒーも。アイロンのかけたての洋服も。それからあたたかいお風呂も……夜眠って朝起きることも。この地上の世界って、素晴らしすぎて、誰からも理解してもらえないのね。

 

"Does anyone ever realize life while they live it...every, every minute?"

人生というものを理解できる人間はいるのかしら?――その一瞬一瞬を生きているその時に

 

ここで、Stage Managerは答えるのです。

 

 "No. Saints and poets maybe...they do some.”

 

そうだね。理解できないんだね。まあ、聖者や詩人ならひょっとしたら・・・彼らは時には理解してるからね。

  

何気ない一日こそが一番大切・・・

 

私は、高橋源一郎の飛ぶ教室3.11の冒頭のお話を聞きながら、この 

"The least important day is the most important."

というセリフのことを思い出していたのでした。

 

その後の小野文恵さんと源一郎さんのやり取りです。

 

何もないんで、なくなるまで気が付かないんだよね。

 

なんでもない日万歳って言うのは、なかなか普段思わない・・・・

 

何もないつまらない、でもなくなってみると、

あー、あの日が一番良かったのかもと思えてくるかもしれないですよね。

 

でもいつ何があるか分からないから

ケンカしたまま人と別れたりするはやめようとか

そんな風に11年前に思ったのを思い出しますね。

 

明日も来るから明日何とかなる。

でも、もしかしたら明日が来ないかもしれないものね。

 

そしたらやれること、できることは今日のうちに。

うまくいかなかったことは今日のうちに。

ケンカしちゃった人とは今日のうちに仲直りしておく。

 

ということを、11年経って忘れていることにまた愕然としつつ・・・ 

 

嗚呼!

まさにそう。

 

東日本大震災のあの日・・・

 

コロナで普段のように外出して買い物したりお芝居見に行ったり友人たちと飲みに行ったりできなくなっている日々・・・

 

テレビで戦車や爆撃の惨劇映像を見る昨今・・・

 

「何もない、普段の何気ない一日」の大切さをその瞬間には思うのだけれども、あっと言う間にそれを忘れてしまう自分。

 

The least important day の大切さを少しでも深く心に刻み込むためにブログに残しておきます。

 

kasikoi.hatenablog.com

 

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