7.8の惨事の日に高橋源一郎さんが僕らに語った大切なこと・今出来ること
その日は本当に重苦しい気分でいました。
安倍元総理が銃撃され死に至ったその日。
ここ数年、国会の質疑を時間があれば見て、支持する政治家の街頭演説があると聞けば時間の許す限り出かけていって聞いていました。
安倍総理が襲撃された時の映像は、今まで何度も経験し、数日前も自分がそういった場にいた、政治家の街頭演説の見慣れた風景。
周りに支持者がいて、政治家がマイクで訴えかける。
その瞬間に、あの出来事は起きたのでした。
ショックというだけでなく、言葉にできない重苦しい時間が半日流れていました。
どうしてよいか分からないこんな気分は今まで経験したことのないものだったかも知れません。
その日の夜、毎週楽しみに聞いている高橋源一郎の飛ぶ教室で源一郎さんが語ったことは、ある意味で私の心を救うものでもありありました。
以下、記憶にとどめるために書き起こして残しておきます。
(前略)
僕たちの社会の存立の根源を揺るがすこのような行為は許すことができません。この国であらゆる国で同じようなことが起こってきました。
慣れてはいけません。けれども怯えてもいけません。
怯え、口をつぐんでしまっては彼らの思うツボになるからです。
身体的な暴力は実は社会のあらゆるあらゆる場所から吹き出そうとしている暴力的なものの象徴なのかもしれません。
銃弾だけではなくもっと別の様々な形での暴力が社会に溢れています。それらの暴力は力で反対する者たちを押さえつけようとします。
それらの暴力に対して僕たちは力ではなく言葉で対抗しなければなりません。
暴力的な言葉に対して暴力的な言葉で応ずることもまた彼らの思うツボになるからです。
言葉が暴力ではない、もっと豊かな力になることを信ずる必要があります。
今出来ることから始めたいと思います。
どんな時でもゆっくり深呼吸をすること。
日常を止めないこと
全てはそこにあります。
そこにいれば落ち着いて考えることができる場所を作ること。
いつもに増して考えること。
情報が飛び交っているとき、耳を澄まして聞くこと、聞き分けること。
大声でしゃべる人間には気をつけること。
押しつけがましい声は聞く必要がありません。
そして自分がそうならないように気をつけること。
無理やり考えをまとめる必要などないこと。
それでも、できるなら一つ一つ考えを言葉にしていくこと。
ゆっくりでいいから。
考えるべきことはたくさんあります。
目の前のこと、自分に関すること、大切な誰か、あるいは大切な何かに関すること。
それから、それらとはまるで異なった遠い世界のこと、はるか昔のことも。
こういう時こそ本を読みましょう。
そこには書いてあるはずです。かつて何度も同じことがあり、そのたびに人々は考え、日常を守り、自分たちを攻め滅ぼしにやってくる者たちと戦ったこと。
それではいつものように始めましょう。夜開く学校、飛ぶ教室です。
明日は参議院選挙。
自分の信じる1票を投じ、夫婦であるいは少しは一人でゆっくりと過ごす1日にしたいと思います。
高橋源一郎さん、大切な言葉どうもありがとうございました。
~高橋源一郎の飛ぶ教室より、7.8の惨事の日に高橋源一郎さんが僕らに語った大切なこと・今出来ることを、記憶にとどめるためのメモとして~