知の泉

地方都市で子供に携わる仕事を、20年くらいやってます。受験・子育て・教育に関することやその他自分の知的好奇心をくすぐった話題を呟いています。時々自分で食べて美味しかったもの、これ欲しいなあというものも呟いたりしてます。

『ペンは剣よりも強し』ってそれが本当の意味だったんだ! ~朝日新聞 折々のことば~を読んで 知った『ペンは剣よりも強し』の本当の意味とは

ペンは剣よりも強し The pen is mighter than the sword  の本当の意味とは

H28/10/25の朝日新聞「折々のことば」を読んでいて、ちょっと不思議に思った。

『「ペンは剣よりも強し」ただし「偉大なる人物の統治下では」との条件が付く』

ん? 「偉大なる人物の統治下では」ってどういうことだ?

 

普通、「ペンは剣よりも強し」と言えば、「言論の力は、武力よりも大きな力を持っている」というような意味合いだと思われているし、自分もそう思ってきました。開成中学校・高等学校でも、イギリスのリットン卿の格言「ペンは剣に優れり」を図案化して「ペンと剣」の校章が定めらたそうです。開成の校歌にも「ペンと剣の旗の下~」とありますね。

 

それに「偉大なる人物の統治下では」って条件が付くということは、「言論の自由をきちんと保障してくれるような偉大なる人物の統治下であれば」って意味なのか?

何だかすっきりしなくて調べてみたら・・・

 

元々は、「リシュリ―あるいは策略」(1839年)という歴史劇でのセリフだったようだ。

劇中で、リシュリ―(=枢機卿という聖職者)が、部下による暗殺計画を知る。しかし彼は聖職者であるが故に自分が武器を手にすることができない。そこでのセリフが「まことに偉大な人間の統治下ではペンは剣よりも強し」だった。

 

つまり、「ペンは剣よりも強し」の本当の意味とは「あとは、自分が署名するだけで発行できる許可証を常に持っているのだから、自分がその許可証(令状・命令書)にサインをするということが、相手のどんな武器にも勝る」ということを言っているのだ。もっと分かりやすく言うと、「剣を持っている者でさえも、クビにしたり、牢屋に入れたり、あるいは処刑する、そういった命令書にサインをするペン(権力)を私は持っているんだぞ」って感じですかね。

 

そのペンは剣よりも強しの本当の意味を知ると、「折々のことば」の続きの意味がよく分かった。

『つまりそれは、いかなる抵抗勢力といえども統治者の令状一枚で潰せるという意味だった。その意味が反転して、権力に屈しない言論の精神をうたう言葉になったのだ。』

さらに「折々のことば」はこう結ぶ。

『その意味が元に戻ってはいないか。この自己検証に堪えてこそのジャーナリズムである。』

 

権力者の命令一つでどんな抵抗勢力をも潰せてしまう、そんな世の中になりつつはないか?そして、それをジャナーナリズムは検証していく義務があるのではないか?そんな問いかけを私たちに投げかけている、非常に考えさせられる文章だった。

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