共通テスト記述式中止法案提出
2019/11/14追記です
記述式問題導入には大きく4つの問題点(導入の妥当性ない、民間委託に不公正あり、採点に無理あり、自己採点が無理)があります。
— きいたかし(城井崇) (@kiitakashi) November 14, 2019
私達からは記述式問題導入中止をして、共通テストはマークシート(多肢選択)式、記述式は個別の大学の2次試験を中心に行うべき、と提案しています。 pic.twitter.com/7lEQSXEXGq
議員立法『大学入試共通テスト記述式問題中止法案』が、共同会派「立国社」と共産党で衆議院に共同提出されました。
2019/11/7追記です。
今朝の朝日新聞にも掲載されていましたが、立憲民主党は国民民主党などにも呼びかけ、大学入学共通テストで実施される国語と数学の「共通テスト記述式中止法案」を来週にも共同で提出することを固めたそうです。
(日時修正再投稿)
— きいたかし(城井崇) (@kiitakashi) November 7, 2019
昨日11月6日の共同会派「立国社」の文部科学部門合同部会において大学入試共通テストにおける記述式問題の導入を中止する法案を議員立法準備することを確認しました。立憲民主党、国民民主党、社会民主党など各政党においても議員立法登録の上で提出に向けた手続きに入ります。
国民主党城井崇議員もツイッターで
『昨日11月6日の共同会派「立国社」の文部科学部門合同部会において大学入試共通テストにおける記述式問題の導入を中止する法案を議員立法準備することを確認しました。立憲民主党、国民民主党、社会民主党など各政党においても議員立法登録の上で提出に向けた手続きに入ります。』とコメント。
共通テスト記述式『延期』ではなく記述式『中止』とはっきり述べてくれていることに感謝したいと思います。
大学入学共通テスト記述式も中止すべき【50万人の記述式は混乱必至】
2019/11/1文科省より、大学入試における英語民間試験の導入延期が発表されました。
国会議員の先生方、予備校等の先生方、保護者、そして何よりも高校生の皆様が声がこういう結果につながったものだと思うと、感慨深いものもあります。
しかし、今日の文科大臣の会見では、大学入試共通テストにおける記述式問題の導入は予定通り行いたい意向のようです。
改めて、大学入試共通テストにおける記述式問題の導入も中止すべきであると主張したいと思います。
以下、いかに50万人以上の受験生の大学入試共通テストにおける記述式は混乱が必至かを以前の記事をリライトします。
大学入学共通テスト記述式、採点結果通知&答案の開示
2019/9/25発表の「令和2年度大学入学者選抜大学入試センター試験説明協議会における大学入学共通テストに関するFAQ」
色々とツッコミ所が満載だと思いながら読んでいました。
中でも『大学入試センターは地雷を踏んだ!』と感じたのは、以下の部分です。
「大学入学共通テストの記述式問題の採点結果の通知のみではなく、答案の返却についても検討してもらいたい」という質問に対して
「大学入学共通テストの記述式問題については、大学入試センター試験と同様、受験者本人からの求めに応じて、採点結果の通知及び答案の開示を行う予定です」と回答しているのです。
前々から、このブログでも『記述式問題』の採点を一度に50万人、本当に公平・公正に、しかも短期間にはできないのでは?という疑問を投げかけていました。
国語の記述式の採点に至っては、上記の表で、縦に15分類×横に5分類の75の表に当てはめての採点。しかもその採点には大学生も入る可能性・・(もうこの時点で完全に無理)
「こういうように答案書いてきたんですけれど、自分の答案はこの表のどこになりますか?」ってセンター試験の翌日に聞かれて、正確に返答する自信、私はありません、というかできません。
自己採点の難しさ、それによって生徒の実際の出願をどうするかが難しくなることはさておき、(それも大問題ですが・・・)これを後日「採点結果の通知及び答案の開示を行う」のだそうです。
センター試験と同様と考えれば、採点結果の通知と答案の開示は4月以降。
この情報化社会です。
「自分の答案はこれで、abのa*」でしたとか
「自分の答案はこれで、bbのb*、どうしても納得いかない」とかが間違いなくネット上に溢れます。志望校にギリギリ進学できなかった人からは、なおさら不満が出るでしょう。
50万人もいれば、まちがいなく「ほぼ同じ答案で採点にぶれがある場合」もでてきます。人間がやる以上「あきらかな採点ミスの可能性」も否定できません。
また、「予備校講師・高校教師・大学で国語や数学の教授」といった専門家に該当するような人から、「この答案でこの得点はおかしい」とか「この答案とこの答案に得点の差があるのはおかしい」といった表明がなされる可能性もあります。
というより、私たち受験生を教える立場の人は、開示された答案と点数の情報をかきあつめ、「どのように書いたらどんな採点がされたのか」を研究することになります。
そして、採点に疑義が生じたときは、その生徒のためにも必ず声を上げます。
しかし、そういった疑義が生じるのは4月以降点数や答案が開示されて以降です。
今でも、大学入試での問題ミスや採点ミスはあります。2019/11/1も九州大学の採点ミスの報道が出されています。これもあってはならないことですが、その場合はその大学が責任をもって(追加合格などの)対応をすることが可能です。
しかし、50万人が受ける大学入試共通テストです。その記述式で採点に疑義が生じたときは、その責任は大学入試センターが負うのですか?それとも採点を請け負ったベネッセが負うのですか?
やはり【50万人の記述式採点は混乱必至】だと言わざるをえません。
2019/11/24追記。
11/22の衆議院文教委員会で立憲民主党初鹿議員が、この共通テストの記述式の開示について質問をしてくれています。
初鹿さん@AkiHatsushika の質疑を再確認中
— ガイド&参考書 受験生応援館 (@guidesankousyo) November 24, 2019
「大臣(記述の細かな部分を含めた開示)必要だと思いませんか?必要だと思うならセンターに必ずやらせると約束して下さい」
大臣「ごもっともな質問だと思います。どういう形で開示ができるかセンターとしっかり話をしてみたいと思います。」
続く)
初鹿さん@AkiHatsushika の質疑を再確認中 「大臣(記述の細かな部分を含めた開示)必要だと思いませんか?必要だと思うならセンターに必ずやらせると約束して下さい」 大臣「ごもっともな質問だと思います。どういう形で開示ができるかセンターとしっかり話をしてみたいと思います。」
よく分からないんだけど「ごもっともだと思う」ということは細かいところまで開示させるってことなのか? それとも後日「センターと話をしたけれども細かな開示はしないことにしました」ってことになる可能性も大きいということか?
細かな開示ってのは非常に大きな問題だと思っている。 もし「細かな開示をしない」となれば、開示後に「どうして自分の開示得点はBなのか?」といった受験生の声が多発するだろう。 「細かな開示をする」となれば、「どうしてこの答案がこういう採点なのか?」という専門家からの指摘がでる。
どちらにしても開示後の大混乱を引き起こすことになるので、文科省、大学入試センターにすると「解なし」の問題なのではないか? やはり共通テストの記述式は中止しかない。
以下は今までの経緯を含めた過去の記事です。
共通テスト記述式採点に大学生も!やはり大学入学共通テスト記述式も中止すべき
2019/7/4NHKニュースで共通テスト記述式採点に大学生を認めるとのショッキングな報道。
前々から、1万人ともいわれる採点者をどうやって確保するかは疑問だと思っていました。
大学院生のアルバイトとかが入るのか?といったうわさもありました。
大学院生で大丈夫か???とも思っていましたが、なんと大学生・・・
偏差値だけでものをいうつもりはありませんが、共通テスト記述式採点者のアルバイト学生は、自分より偏差値の大学を目指す人の答案も採点する可能性があるのですよ。
自分でも、中学生・高校生と一緒に勉強していますが、記述式の答案の指導はまさに身を削る作業です。
生徒が書いた答案と問題集の模範解答。見比べて本当に生徒の答案は点を得る価値があるのかないのか、判断してコメントをする作業は本当に緊張します。
共通テスト記述式採点アルバイト全員にその覚悟はあるでしょうか?
ある意味、現役受験生なら18年の全てをかけて書いたであろう答案が、点を与える価値があるのかないのか、採点者の判断が全てを決するかもしれないのです。
そして、将来、本当にその採点の検証がなされ、もし適切な採点でなかったということが分かった時に、受験生の人生を左右したことに対する責任を負う覚悟が文科省にもあるのでしょうか?
なお今回、共通テスト記述式採点に「大学生」という部分がクローズアップされていますが、そもそも50万人以上の採点を本当にあの短期間で公平公正に採点できるのかということ自体に大きな疑問を持っています。というか不可能だと思っています。
以下、高校の先生の話です。
1クラス分の記述式答案を採点するのだって大変よ。
最初の方は「これは×で、これは△で減点」としても、後半になって「やっぱりこれは〇でもいいかな」と思いなおすと、「いや、そうしたら最初に△にしたのも〇にしないといけないかな・・・」という作業の繰り返し。
やっと採点が終わったと思って、隣のクラスの採点をした先生に確認してみると、「ああ、私はそれ×にしました。やっぱり×にしましょうよ。」
それで、採点のし直し。
それでも学校単位だから、最終的にはお互いに確認をして、少なくても公平には採点ができます。
大学の二次試験だって、採点者間で、意思疎通を図りながら、少なくても公平には採点がされることになります。(というか、そうだと信じています。)
これが、50万人の試験で可能なのでしょうか。初めから不可能。
そして、「採点に大学生」騒動。いかに「記述式の採点」を甘く考えているかが露呈されたと思っています。
以前読んだ朝日新聞折々のことばを引用します。
『答案はラブレターを書くように書け。実際、消しゴムで消した跡をすかし受験者の思考の道筋を探ろうとする採点者もいると。 森毅 ”ものぐさ数学のすすめ”から』
朝日新聞『折々のことば』2018/2/12より
記述式の答案を採点するというのはこういうことだと思います。採点アルバイト学生にそして文科省にその【覚悟】はあるのでしょうか?
追伸
難関大学の記述式試験と本気で戦った経験がある文科省のお役人自身が、記述式の採点を一度に50万人、しかも大学生アルバイトにというのが、どれだけ無理な事かお分かりだと思います。それとも、文科省のお役人からすれば、あの程度は、記述式って呼べないから、大学生アルバイトの採点で十分じゃない?って判断なのでしょうか?
なお、私は記述式の大学入試が悪いと言っているのではありません。むしろ個別の大学の入試には積極的に記述式の問題を取り入れるべきとも思っています。
そして記述式答案で生徒の思考力を確かめ、その大学の教授陣が採点し、序列をつけて、大学ごとのアドミッションポリシーに合わせて合否を決すればよいと思っています。それを50万人の受験生に一度に課す共通テストに導入することが無理だし、混乱を招くと主張しているのです。
以上、大学入学共通テスト記述式も中止すべき【50万人の記述式採点は混乱必至】という私見でした。