知の泉

地方都市で子供に携わる仕事を、20年くらいやってます。受験・子育て・教育に関することやその他自分の知的好奇心をくすぐった話題を呟いています。時々自分で食べて美味しかったもの、これ欲しいなあというものも呟いたりしてます。

理科の選択 【物理・化学・生物・地学】 どれを選ぶか?

理科の選択【物理・化学・生物・地学】をどれにするか?

 

理科の選択をどれにするか 物理化学生物地学

高校1年生で、悩むのが、「理科の選択科目をどう選ぶか?」ということかも知れませんね。ついこの前、高校受験が終わったばかりなのに、文系・理系を選択して、理科・社会も決めなくちゃいけないのは大変だとは思います。でも決めないといけないものは決めないといけないのですから、少しでもそのヒントになるようにまとめてみました。

文系のあなたの理科の選択

基本「物理基礎」を受験で使うという選択は少ないでしょう。なんたって、数学が得意なら理系を選択するだろうし、いきなり必修の物理基礎で「sin,cos」なんて出てきて面食らった人も多いはずです。「化学基礎・生物基礎」でいくか「化学基礎・地学基礎」という2択が基本ですが、「地学基礎」を教えてくれる先生が高校現場には多くいないのが実情ですから、敢えて独学で「地学基礎」を勉強して・・・という危ない真似はせずに素直に「化学基礎・生物基礎」という選択で迷いはないはずです。(もちろん、高校に地学の先生がいて、3年時でもきちんと地学基礎に対応してくれる高校であれば、地学基礎という選択もあるでしょう。)

ただし、高卒認定試験から大学受験、進学校ではない高校の生徒で、どのみち学校の先生から理科の指導が受けられないという条件であれば、独学でもある程度の点数までは得点しやすい地学基礎を選択するというのは一つの賢明な選択だと思います。

理系のあなたの理科の選択

 問題なのは理系の生徒です。

工学部系が志望の場合は物理選択で決まり

 工学部系(それと保健学科系統で放射線)が志望の場合、国公立二次試験では物理が必要なケースが圧倒的に多くなります。したがって選択するのは「物理」で決まりで、最終的には共通テスト試験を「物理・化学」で受験していくという選択になっていきます。※念のため自分の志望大学(群)の受験科目はチェックが必要です。

 

工学部系以外が志望の場合の理科の選択

国公立の医歯薬・保健系(看護)、教育学部で理系、などが志望の場合は、共通テスト試験では理科が2科目になりますが、特に指定がない限り、組み合わせは「物理・化学」でも「生物・化学」でも問題はありません。二次試験では理科が1科目の場合も2科目の場合も、あるいは理科がない場合もありますが、二次試験で化学・生物が指定の場合を除いては、基本どの理科を選択しても良いことになります。

 

受験ではどれでも良いときにどの理科を選択するか。物理・生物どちらにするかという選択

【物理という科目について】

まず理科の中で、物理がどのような特徴があるのかについて知っておきましょう。物理という科目を理解することが科目選択においてとても重要なのです。

 

①物理は他の理科と比べて暗記部分が少なく、暗記したものの応用部分が多い

物理の暗記部分は、覚えるべき用語・公式を全て含めても生物の5分の1くらいしかないといえます。

その少ない暗記したものをいかに問題に活かすかという「応用部分」が多いのです。

暗記中心の科目というのは「努力と点数が比例」し、「誰でも努力をすればある程度まで簡単に点数が取りやすい」のです。ここでの「簡単に取りやすい点数」とは、共通テスト70点くらいを言っています。

ただし、暗記中心の教科は「共通テスト90点以上が非常にとりづらい」科目とも言えます。90点以上を狙うのなら、かなり細かい知識まで覚える必要が出てきて、効率が悪くなるといえます。

 

②物理は、理解できて点数が取れるようになるまでに時間がかかるが、一旦点数が取れるようになると下がりにくい

 

物理は、偏差値のグラフで見たとき2つに分かれる傾向があります。それは「理解できず点数が取れない人」と「理解できて高得点を取る人」と分かれやすく、中間の人が少ないということです。

 

理科の中で、主に生物は「暗記」や「ルールを覚えて当てはめる」という「中学校までのやり方に似た勉強」が中心となります。しかし、物理はまず「身のまわりの現象を理解して数式で表す」という「これまでやったことのない勉強」をすることになります。この現象理解ができないと、いくら問題をこなしても点数が取れません。また現象理解だけでも点数は60点程度で止まってしまいます。

 

ただし、慣れていけば暗記量の少なさからどんどん理解が進みます。そのあとで問題演習を積み重ねると、ある時から点数が70点より低くならなくなって、90点前後で安定するようになっていきます。物理は生物のような「勉強量と点数が比例」する科目ではなく、「60点程度で止まっても根気強く勉強を続けることで、90点前後で安定するようになる科目」であるといえます。

 

③物理は他の理科に比べて共通テストの平均点が安定している

 

文系物理というのはほぼいなく、物理はガチガチの理系が選択します。よって今までのセンター試験でも共通テスト試験での平均点は生物と比べると必然的に物理が高くなり、かつ60~65点で安定します。生物は年による平均点のばらつきが大きく、運がよければ平均が70点前後になり得をすることもありますが、悪いときは50点近くまでなる年もあります。物理は年による共通てエストの当たり外れはほぼなく、生物は当たり外れが大きいということがいえます。

 

 

ここまでをまとめると、受験科目としての物理の特徴は…

① 物理と生物を比較すると、物理は受験科目としての幅が広い(多くの理系学部・学科で選択可能である)

② 物理は他の理科と比べて暗記部分が少なく、暗記したものの応用部分が多い(1:1対応の問題が少ない)

③ 物理はある程度時間をとって勉強をしないと理解ができず、点数を取ることはできない(理解に時間がかかる)

④物理は 点数が取れるようになるまで時間がかかるが、一旦点数が取れるようになると下がりにくい(最初点数が取れるようになるまでには時間がかかる)

⑤ 年によるセンター試験の当たり外れはほぼなかった(60~65点で安定している)

ということになり、物理現象や用語・公式をしっかりと理解することに時間をかけたあとで、マーク形式や記述形式の問題を解くことで、点数が安定する科目であるといえます。

 

したがって、物理か生物どちらにするかについての選択は、受験大学の理科しばりを確認(センター・二次ともに)したうえで、理科が得意で、理科で点数を稼ぎたい(理科で9割以上を狙いたい)なら物理を選択するべきだし、理科があまり得意ではなく、他の教科で稼ぎたい(理科は8割程度でいい)なら生物を選択した方が効率が良いといえます。ただし、これは、あくまでも一般論であり、自分の興味の持てる教科の方が勉強も進めやすいと思うので、自分の興味が持てない科目よりは、興味を持って学習できそうな科目を選択するのが基本ではあります。

 

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