物理のおすすめ参考書のレベル比較
試験科目としての物理の傾向について
物理がどのような特徴があるのかを理解し、それを踏まえて学習することはとても重要です。物理の特徴を以下の5点にまとめてみました。
① 生物と比べて、受験科目としての幅が広い(多くの理系学部・学科で選択可能である)
② 年によるセンターの当たり外れはほぼない(60~65点で安定している)
③ 他の理科と比べて暗記部分が少なく、暗記したものの応用部分が多い(1:1対応の問題が少ない)
④ ある程度時間をとって勉強をしないと理解ができず、点数を取ることはできない(理解に時間がかかる)
⑤ 点数がのるまで時間がかかるが、一旦のると下がりにくい(慣れるまでに時間がかかる)
ということで、物理現象や用語・公式をしっかりと理解することに時間をかけたあとで、マーク形式や記述形式の問題を解くことで、点数が安定する科目であるといえます。
物理おすすめ参考書・問題集~レベル比較~
(1)大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理が面白いほどわかる本シリーズ
物理を二次試験で使う人も、センター試験だけでしか使わない人にも、基礎から学びたい人にまずおすすめのシリーズ。
知識ゼロのレベルからはじめられ、物理現象の理解のための参考書といえます。説明がかなり丁寧で分かりやすく、読み物のように読み進めていくことでどんどん理解できると思います。問題の考え方・解き方もきっちりのっています。[力学・熱力学編][電磁気編][波動・原子編]と3冊に分かれていて、全てそろえると4,000円オーバーとなりますが、物理が得意な人でも一度は読むべき評判通り素晴らしい参考書です。
大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理が面白いほどわかる本 力学・熱力学編
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大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理が面白いほどわかる本 電磁気編 |
大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理が面白いほどわかる本 波動・原子編 |
(2) 漆原の物理(物理基礎・物理)明快解法講座
(1)の 『漆原晃の 物理基礎・物理が面白いほどわかる本シリーズ』3冊を全分野にわたって凝縮した、参考書と問題集の中間といえる1冊です。説明をコンパクトにまとめ、必要な頻出出題パターンを絞り込み、得点へつながる解法をメインとしています。 (1)までは説明がいらないけど、頻出問題の解法を1通りマスターしたいというレベルの人におすすめです。
下記の『河合塾物理のエッセンス』と比較して、はるかに解説はわかりやすいと思います。ただし、問題数、問題の難易度レベルは『河合塾物理のエッセンス』のほうが上で、『河合塾物理のエッセンス』は、基本ができている人が中級以上の問題を数多くこなすのに向いているし、『漆原の物理(物理基礎・物理)明快解法講座』は出題頻度の高い厳選された問題を丁寧に解説している本だといえます。
漆原の物理(物理基礎・物理)明快解法講座 |
(3) 河合塾 物理のエッセンスシリーズ
できるだけ単語の意味を省いて、最も大切な要素(エッセンス)だけを扱っている、参考書要素が少ない問題集といえます。「力学・波動」「熱・電磁気・原子」2冊ともに薄いですが、説明も十分にあります。暗記した方が楽なところは割り切って暗記するようにしているところもあり、受験としての物理の効率を考えてあります。これにのっている問題を全て理解し解けるようになると、センターはもちろん2次試験の問題も、中堅大学レベルまでは解けるようになると思います。物理が苦手な人はこれから始めると難しいと思うので、(1)『物理基礎・物理が面白いほどわかる本シリーズ』または(2)『漆原の物理(物理基礎・物理)明快解法講座』をやった後に『河合塾 物理のエッセンスシリーズ』をやった方がいいです。
河合塾物理のエッセンス 力学・波動 |
河合塾物理のエッセンス 熱・電磁気・原子 |
(4)物理重要問題集
『物理重要問題集』は網羅性が高く良問も多いです。物理のエッセンスに比較すると難易度レベルが高く、MARCHレベルや旧帝大クラスの受験生にもおすすめです。最大の特徴は圧倒的に分かりやすい別冊解答にあります。MARCHレベルの人はA問題だけとか、受験まで時間がなければ必解問題だけ解くという使い方もありそうです。旧帝大以上の受験予定者レベルなら基本的には全部解くべき問題集だと思います。
物理重要問題集 物理基礎・物理 |
(5)名問の森
『名問の森』は難易度レベル的には上記の『物理重要問題集』と似た感じなので、どちらか一方だけでいいと思います。解説も丁寧だと思います。この『名問の森』か『物理重要問題集』を仕上げて各大学の過去問に進んで行くのが、良いと思います。
名問の森 力学・熱・波動1 |
名問の森 波動2・磁気・原子 |
(6)河合塾 マーク式基礎問題集シリーズ
物理現象の理解と頻出問題の解法を1通りマスターした後で使い始める、センター対策のための問題集です。「物理基礎」「物理」の2冊があり、これにのっている問題を繰り返し解いて、物理のマーク問題に慣れていくためのものです。
河合塾マーク式基礎問題集 物理基礎 |
河合塾マーク式基礎問題集 物理 |
(7) 駿台 短期攻略センターシリーズ
『駿台短期攻略センターシリーズ』は『河合塾マーク式基礎問題集』と同様の使い方をする問題集で、「物理基礎」「物理」の2冊があります。マーク式基礎問題集よりも難易度は高くセンターの過去問ものっているので、マーク式基礎問題集が終わってから手をつけるのがよいでしょう。
短期攻略 大学入学共通テスト 物理基礎 (駿台受験シリーズ) |
短期攻略 大学入学共通テスト 物理 (駿台受験シリーズ) |
(8)河合塾 マーク式総合問題集シリーズ
『河合塾マーク式式基礎問題集』『駿台短期攻略センターシリーズ』のレベルを1通りやった後で使い始める、共通テスト対策のための問題集です。「物理基礎」「物理」の2冊があ、30分または60分の時間を測って解く、共通テスト試験の実戦練習をするためのものです。基礎で受験する生徒は化学基礎も購入して、物理基礎+化学基礎で60分測って解くと、より実戦的にできます。
2022共通テスト総合問題集 物理基礎 (河合塾シリーズ) | 2022共通テスト総合問題集 物理 (河合塾シリーズ) |