2020年度大学入試はさらに厳しくなるのか?~2019年入試を振り返って2020年度入試に向けて考えておく対策~
やはり厳しかった2019年度私大入試
朝日新聞デジタルにも厳しかった2019年度の特に首都圏私大入試についての記事が掲載されています。
「直前の模擬試験でA判定だった生徒が次々と不合格になった」
「センター利用の私大が、昨年なら楽に合格できる点数だった生徒も落ちてしまった」
「滑り止めで受けた大学も不合格になった生徒が多かった」
こういった例が2019/4/8の朝日新聞で紹介されています。
当ブログで以前紹介した通りの2019年度大学入試は特に首都圏の私大を中心に厳しいものだったようです。
2020年度大学入試はさらに厳しくなるのか?
厳しいと言われた2018年度入試の影響を受け、昨年度、大学受験予備校は、浪人生の数が増えていました。
駿台予備学校は昨年、首都圏と関西の校舎で浪人生向けの私立文系コースへの入学者が3割、国立文系が2割増えたそうです。定員の都合で、久しぶりに入学を断るケースもあったそうです。
河合塾でも同様に私立・国立の文系コースで生徒が増えました。
今年の浪人生の数がどうなっているのかは報道を待たなければなりませんが、思うように自分の志望校に合格できなかった今年の生徒が、再チャレンジの道を選んでいる可能性は大きいと思います。
2020年度の現役受験生は、そういった多くの浪人生とも戦わなければならないのですから、2020年度入試が厳しいものになるのは当然です。
2020年度の大学入試は背水の陣の厳しさ
ご存知のように、2021年度の大学入試が大きく変わります。
センター試験は大学入試共通テストに変わり、数学・国語で記述式の問題が出題されます。
東大、東北大など今のところ一部の大学を除いて、英語の民間試験も受験する必要もでてきます。
できれば、そういった新しい入試制度を避けたいと思うのが受験生の心理。今年以上に安全志向の生徒も増えるだろうし、私立大学の併願受験校の数も多くなることは容易に想像がつきます。
2020年度の大学入試は、今年以上に厳しくなることはあっても、易化することは考えづらいと思った方が良いです。
2020年度厳しい大学入試に向けて現役生・保護者が考えておくべき対策
では、厳しいことが予想される2020年度入試を受ける現役生・保護者が考えておくべきことはどんなことがあるでしょう?
①指定校推薦入試を真剣に検討するという対策
もちろん、自分の行きたい大学に、一般受験で合格していけるように勉強を重ねていって欲しいと思います。
でも、もし自分の高校に、「そこであれば自分の学びたいことができる」大学の指定校推薦があるのであれば、真剣に手を挙げることを検討して欲しいと思います。
特に地方の高校の中には「まずは国公立大学にチャレンジ」という風潮の中、夏ぐらいに「私大の指定校推薦に手を挙げる」のは、勇気が必要な雰囲気の高校もあるかもしれません。
場合によっては「何お前は逃げているんだ」という先生もいたりするかも知れませんん。
できれば、「国立の大学に入って親に経済的な負担をかけたくない」という気持ちも分かります。
でも、あなたが指定校推薦というチャンスをつかまなかった大学には、一般受験で合格していくことは限りなく厳しいのが、今年のそしておそらく来年度入試の現実です。
自分がある程度納得できる大学の指定校推薦の枠があるのであれば、真剣に検討しておくべきだと思います。
なお、「指定校推薦の枠」というのは、4月5月の段階で決まっているものではありません。(大学系列高校の場合はよく知りませんが・・・)
9月10月になってようやく、どこの大学のどの学部学科の指定校推薦があるのかが決まっていきます。
前年度までの、その高校からその大学への進学実績、あるいはその大学の様々な状況で、「去年まではあった指定校推薦の枠が今年はない」とか逆に「今年から急に〇〇大学〇〇学科の指定校推薦枠ができた」ということがあるのです。
したがって、3年生の早い時期の三者面談等で、
「こういった大学のこういった学部の指定校推薦の枠が高校に来るのであれば検討したい」
という意思表明を担任の先生・進路の先生しておくことが大切だと思います。
②公募推薦入試やAO入試に積極的にチャレンジするという対策
指定校推薦とは異なり、公募推薦入試やAO入試は、合格が約束されているものではありません。
また、一般受験しか考えていない生徒が、一生懸命勉強している時期に、志望理由書を準備したり、面接の練習をしたりといったことに時間を取られるのも事実です。
しかし、長年受験生とご一緒していますが、正直「この生徒の成績では一般入試で合格するのはかなり厳しい(あるいは限りなく無理)」といった生徒が、公募推薦・AO入試で、合格を勝ち取っているケースを数多く見ています。
自分の希望する大学群・学部群で、公募推薦やAO入試にチャレンジできる評定平均があるのならば、是非積極的にチャレンジすることを考えて欲しいと思います。
もちろん、これは2020年度入試を受ける現役生だけではありません。大学によっては、浪人生も受験可能な公募推薦・AO入試もありますから、そういった選択肢も十分に調べてチャンスを活かして欲しいと思います。
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③予想以上にお金が必要になるケースを想定して対策しておく
最終的に一般受験をすることになった場合、想定以上にお金が必要になる場合もあります。
厳しいものになることが予想される2020年度入試。入試制度が2021年に変わることも考えれば浪人もしたくない・・・
国公立志望の人だって、併願の私立大学も多くなることが考えられます。
私立大学の受験料は3万~3万5千円。私大前期入試がダメで、中期・後期と結果的に10大学近くの受験になってしまった人も知っています。
しかも、センター試験利用で、実際には受験に行かなくても良い方式は、80%程度の得点率では日東駒専クラスでも合格ができず、GMARCHクラスなら90%以上の得点率が必要な学部学科もある現状では、私立大学も実際に受験会場に足を運んで一般受験もしなくてはならないのが昨今の入試の現実。
地方在住の人にとっては、複数回の移動・宿泊費用もばかになりません。
さらに、今年もそうだったように、来年も、私立大学は普通の合格者数を絞り込んで、その分を補欠合格で大量に調整するケースが想定されます。
今年も3/28,29,30といったギリギリで補欠合格からの繰り上げがずいぶん見られました。
これはどういうことを意味するかというと、
早い時期に滑り止め校に合格して入学金を納める。(平均24万とか25万円)
⇒第一志望は補欠合格候補
⇒第二志望校は合格したので、進学することにして、仕方ないがまた入学金を納める。
⇒3月末に第一志望校から補欠繰り上げ合格‼(歓喜しながらも、泣く泣く3回目の入学金を納める)
万一、第二志望の大学の近辺にアパート契約しちゃってる場合は、3月末のキャンセルだと、ひょっとしたら敷金礼金とか返してもらえないってこともあるかもしれません・・・
考えただけでゾッとしますが、昨今の入試だと考えられる事態です。
2020年度が厳しい大学受験になるのは合否だけではなく、 受験の費用も多めに見積もっておくことも必要だという、資金面での厳しさもあるのです。
なお、2020年度大学入試では、「浪人したくない」生徒が増えると想定されますが、私個人の意見としては、だからこそ「行きたい大学に積極的にチャレンジして欲しい」とも思っています。
安全志向の受験生が多いがために、逆にチャレンジ校の倍率が思ったよりは低くなるかもしれません。
また、仮に万一2020年度入試で浪人することになったとしても、翌年の2021年度入試はライバルである浪人生が少ない状況で有利に受験できる可能性もあります。(新しい大学入試共通テストを受けたり、英語民間試験を受けたりという負担感はありますが、条件は全員一緒です。)
④志望大学群のパンフレットを早めに研究しておくという対策
入試が厳しくなればなるほど、大切なのは「情報」です。
・大学の入試科目・配点は当然。
・合格最低点は
・複数回の受験機会がないか
・その大学の学部学科にどういう研究をしている教授がいるのか。
・どういう生徒を求めているのか
・学部卒業後の進路状況(就職先や大学院進学率)
・資格試験や公務員試験などの受験者数や合格率
その他早めに調べたことが、AO入試・推薦入試・そして一般試験のどこかで必ず活きてきます。
そのためにも【大学案内・パンフレットの請求】は、できるだけ早めにしておきましょう。
以上2020年度大学入試はさらに厳しくなるのか?~2019年入試を振り返って2020年度入試に向けて考えておくべき対策~についての私見でした。