知の泉

地方都市で子供に携わる仕事を、20年くらいやってます。受験・子育て・教育に関することやその他自分の知的好奇心をくすぐった話題を呟いています。時々自分で食べて美味しかったもの、これ欲しいなあというものも呟いたりしてます。

お金ない「国公立大学しかダメ」と言われてる人が陥る罠

【INDEX】

 

お金ない「国公立大学しかダメ」と言われてる人が陥る罠

田舎の県民所得が高くない県なので、昔から、親に

「お金ないから国公立大学しかダメ」と言われてる人は多かったです。

 

昨今のコロナ禍で地方経済も疲弊しているのか、昨年そして今年は「お金ないから国公立大学しかダメ」と親にくぎを刺されている人が多い印象です。

 

そういう「国公立大学しかダメ」と言われている(あるいは自分自身がそう思っている)人が陥りやすい罠について書き残しておきます。 

 

国公立大学の学校推薦型・総合型選抜で受験しようと検討している人が陥る罠

文部科学省によると令和3年度(2021年度)大学入学者選抜で総合型選抜(旧AO入試)の実施率は、国立大学が76.8%、国公立全体が56.9%といずれも過去最高。

 

学校推薦型も国公立大学の9割が導入をしています。

 

国公立大学しかダメと言われている生徒の中には、まず学校推薦型あるいは総合選抜型でチャレンジをしよう、という人も多くなってきました。

 

確かに実感として、『この生徒が同じ大学を一般試験で受験してもまず厳しいだろう』という学力水準の生徒でも、合格してしまうことがあるのが学校推薦型あるいは総合選抜型入試。

 

そういう意味では、自分の志望校に学校推薦型あるいは総合選抜型があり、成績要件(評定平均が〇〇以上、英検〇〇以上など)を満たしているのであれば是非チャレンジして欲しいとも思います。

 

一方で、いわゆる私立大学の指定校推薦(問題がなければほぼ合格)とは違って、必ず合格できるわけではないのが学校推薦型あるいは総合選抜型入試

 

不合格が決まってから、一般入試で最後のチャレンジしよう、と思っても間に合わないのが国公立大学の入試。

 

学校推薦型あるいは総合選抜型で受験すると夏場は相当その準備(志望理由書・小論文・面接など)に時間を取られます。

 

しかもその準備期間は、「これだけ準備しているのだから合格したい」という気持ちがどんどん大きくなり、すっかり一般受験に向けての学習から遠ざかってしまう罠に陥ってしまう人も多い印象です。

 

一般入試で受験するつもりでの勉強もきっちりと並行して続けていかないといけないということです。

 

国公立大学の一般入試、共通テストの割合が高いので、まず共通テスト対策重視で

「国公立大学しかダメ」と言われている人だけではないのですが、

特に地方国公立大学では

共通テスト:二次個別試験=900点:200~400点

といった比較的共通テストが重視(に見える)大学・学部も多かったりします。

 

そういった大学の志望者は、

「まずは共通テストで高得点を」と勉強する人も多いです。

 

もちろん、共通テストの得点はしっかりと取らなければいけないのですが、最終的に合否を決めるのは二次個別試験での得点との合算。

 

はっきり言います。

共通テストが終わってから二次個別試験の対策をって思っている人は、

共通テストのリサーチでB判定だろうがA判定だろうが、

200点~400点の二次個別試験で平気でひっくり返されて不合格になることがあります

(何人もそういう人知っています。)

 

それが国公立大学の二次記述の試験です。

 

とにかく、

二次個別試験で使うことになる教科は、

早い時期から記述を意識して勉強を重ね、

他の教科の共通テスト対策の追い込みの時期でも、

勘を鈍らせない程度には二次試験科目の記述対策を継続していくべきだと思っています。

 

まずは共通テスト重視の学習でという罠に陥らないことが大切です。

 

他の国公立大を受験できないような教科選択をしてしまう罠

どうしても国公立大学しかダメだとなると、できるだけ教科の負担を減らして効率よく学習したいと思ってしまいがち。

 

その結果、第一志望の大学の入試科目しか考えずに、

例えば数学をⅠAでなくⅠで受験したり、

国語は現代文のみで受験とか、

数学はⅡBを受けない、

地歴公民を一つしか受けない、

といった選択をする人もいます。

 

もちろん、目標の点数を取って、自分の志望大学を予定通り受験できればいいのですが、そうならなかったときには他の大学を受験する資格さえなくなってしまいます。

 

結果DとかE判定から望み薄の第一志望校を受験するしかない

後期日程は出願できるところがない

という人も見てきました。

 

可能なのであれば、できるだけ5教科7科目をしっかりと受験する準備をし、共通テストで思うように点数が取れなかった場合に備えていくことが、最終的に国公立大学に合格していくためにも大切なことだと思っています。

 

お金ない「国公立大学しかダメ」は本当にダメなのか、それとも「できれば国公立大学」なのか

お金ない「国公立大学しかダメ」は

本当に国公立大学しかダメなのか、

それとも「できれば国公立大学」なのか、

その意思疎通が親と取れていない生徒も割といたりします。

 

保護者・生徒との三者面談で

「それで、私立大学の併願とかはどう考えてます?」と尋ねると

「うちはお金ないので国公立で」と答えた保護者。

 

あとで別の機会にその保護者と話をすると

「無理すれば何とか私大でも行かせられなくはないけど、私大でもいいって言えばうちの子は勉強しないから・・・」

 

結果的に、共通テストで点数取れなかったその後で、

「私大でも仕方ない・・・」

って言われても、「共通テスト私大の先出し型」は締め切ってます。

 

それから様々な私大の学部や受験科目調べてって初めても良い結果にはつながるはずがありません。

 

とにかく早い段階で、

お金ない「国公立大学しかダメ」は

本当に国公立大学しかダメなのか、

それとも「できれば国公立大学」なのか

はっきりと保護者と意思疎通をはかることが大切だと思います。

国公立大学がダメだったらその時考えるという最悪の結論

国公立しか受けませんという生徒に

「ダメだったらどうするの?」

と聞くと

「その時考えます」

という最悪の答えが返って来ることがあります。

 

浪人するという選択肢がありえるのであればまだ良いのですが、

それもなく、3月に就職が見つかるわけもなし・・・

数年たって町で偶然会うと

「あれからずっとアルバイト生活が続いてます」

という人を複数知っています。

 

何か目標があって、その目標のためにアルバイト生活の時期があるというのを否定するつもりはありません。

 

少なくても、国公立大学しか受けないというのであれば、それが叶わなかったときどうするのかということを早い時期に考えておくことは必要だと思います。

 

お金ない「国公立大学しかダメ」ということは、あといくら工面できれば私立大学進学という選択肢がとれるのか?色々調べてみたか?

世の中には、地元国立大学ですら進学することができない環境の人もいます。

 

お金ないから国公立大学しかダメということは、逆に言えば「国公立大学なら(金銭的に)いける」という意味でもあります。

 

残念ながら国公立大学に合格することができなかった(あるいは共通テストで思うような点数が取れなかった)ときに備えて、以下のようなことを確認しておきたいものです。

 

・あといくら工面できれば、(自分の夢が叶えられる学部・学問がある)

私立大学に進学できるのか自分で計算したことがありますか?

 

・奨学金制度はどうなっているか自分で調べましたか? 

 

・地元自治体や企業の独自の奨学金があったりしないか調べましたか?

大学・地方公共団体等が行う奨学金制度 - JASSO

 

・私大の中でも一定の成績で合格すれば学費免除(特待生試験)になるところで、自分が合格する可能性のある所はないか調べましたか?

(私の知っている生徒でも、国立ダメで関東圏私大の特待生合格で進学した人がいますが、成績は決してものすごく良かったわけではありません。)

 

【2022年度】大学独自の奨学金特集 - 大学ジャーナルオンライン

 

・大学等就学支援法で、学費が免除になったり給付型奨学金がもらえる可能性について自分で調べたり親と確認しましたか?

 

 

是非、以上のようなことを自分でも調べてみましょう。

 

以下は大学等就学支援法についてのまとめです。

【大学無償化】対象になる人・対象外の人まとめ

2019年5月10日「大学等就学支援法」が衆議院で可決成立しました。

www.nikkei.com

 

これで2020年4月から、世帯収入に応じて、大学等の入学金・授業料が支援されるだけではなく、返済不要の給付型奨学金がもらえることになっています。

 

支援の金額等は以下のようになっています。

 

高等教育の無償化制度での支援額

  国公立 私立
  授業料 入学金 授業料 入学金
大学 54万円 28万円 70万円 26万円
短期大学 39万円 17万円 62万円 25万円
高専 23万円 8万円 70万円 13万円
専門学校 17万円 7万円 59万円 16万円

 

給付型奨学金(いずれも年額)

  自宅生 自宅外生
国公立 35万円 80万円
私立 46万円 91万円

 

上記いずれも世帯年収によって3段階で支援する

なお、年収金額は両親・本人・中学生の4人家族の場合で、家族構成によって金額は異なる。

①住民税非課税世帯(年収270万円未満) 全額支援
②年収270万円~300万円未満 非課税世帯の3分の2を支援
③年収300万円~380万円未満 非課税世帯の3分の1を支援

 

これは、すでに在学生の人、2浪までの浪人生、そして合格後2年の間までの高卒認定生も対象となります。

 

【大学無償化】対象になる人・対象外の人~大学院生は?浪人生は?在学生は?~ 

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●大学無償化で「救われる」のは二浪までと高卒認定試験合格後2年以内の入学生です。
 

●3浪以上、あるいは社会人で高校卒業後3年以上経って大学に入学する生徒は、いくら世帯年収が少なくても対象外で救われません。

●大学院生は問答無用で「大学等就学支援法」の対象外で支援対象外です。

●年収380万円以上の世帯は全員「大学等就学支援法」の対象外です。

 

なかなか聞きづらいことだとは思いますが、自分の家庭が上記の年収要件に該当していないかどうか親に確認をしてみましょう。

 

『家庭にお金がない』から『国公立大学しか行けない』と思っている方で、『それなら私立大学に行ける可能性があるかも』という方も中にはいるのではないでしょうか?

 


長い文章最後までご覧いただきありがとうございます。

 

色々調べたり考えたりしたけれども、それでも環境が許さないということだってあるでしょう。

 

自身も数十年前、国公立大学しかダメという家庭環境で不合格になってしまい、新聞奨学生(最初予備校代金を貸してくれて住み込みで1年働くと予備校代を返さなくてOK)として予備校に通って翌年志望の大学に合格した経験はあります。

 

あの時、自分で新聞奨学生というのを自分で調べて、勝手に手続きして上京したのは今となっては良い思い出です。(新聞奨学生、決して楽ではないので是非にと勧めはしません)

 

与えられた条件で、自分の志望を叶えていく方法が他に本当にないのかどうか。

 

色々自分で動いて調べてみることから始めてみましょう。

 

今の自分の第一志望が国公立大学なのであれば、様々な事態に備えたうえで、志望通りの大学に合格・進学していけることを願っています。