共通テスト記述式採点に大学生‼ 採点アルバイト学生にそして文科省に【覚悟】はあるか?
NHKニュースで共通テスト記述式採点に大学生を認めるとのショッキングな報道。
前々から、1万人ともいわれる採点者をどうやって確保するかは疑問だと思っていました。
大学院生のアルバイトとかが入るのか?といったうわさもありました。
大学院生で大丈夫か???とも思っていましたが、なんと大学生・・・
偏差値だけでものをいうつもりはありませんが、共通テスト記述式採点者のアルバイト学生は、自分より偏差値の大学を目指す人の答案も採点する可能性があるのですよ。
自分でも、中学生・高校生と一緒に勉強していますが、記述式の答案の指導はまさに身を削る作業です。
生徒が書いた答案と問題集の模範解答。見比べて本当に生徒の答案は点を得る価値があるのかないのか、判断してコメントをする作業は本当に緊張します。
共通テスト記述式採点アルバイト全員にその覚悟はあるでしょうか?
ある意味、現役受験生なら18年の全てをかけて書いたであろう答案が、点を与える価値があるのかないのか、採点者の判断が全てを決するかもしれないのです。
そして、将来、本当にその採点の検証がなされた時に、(そういうことがあるのかどうか分かりませんが)もし適切な採点でなかったということが分かった時に、受験生の人生を左右したことに対する責任を負う覚悟が文科省にもあるのでしょうか?
なお今回、共通テスト記述式採点に「大学生」という部分がクローズアップされていますが、そもそも50万人以上の採点を本当にあの短期間で公平公正に採点できるのかということ自体に大きな疑問を持っています。というか不可能だと思っています。
以下、高校の先生の話です。
1クラス分の記述式答案を採点するのだって大変よ。
最初の方は「これは×で、これは△で減点」としても、後半になって「やっぱりこれは〇でもいいかな」と思いなおすと、「いや、そうしたら最初に△にしたのも〇にしないといけないかな・・・」という作業の繰り返し。
やっと採点が終わったと思って、隣のクラスの採点をした先生に確認してみると、「ああ、私はそれ×にしました。やっぱり×にしましょうよ。」
それで、採点のし直し。
それでも学校単位だから、最終的にはお互いに確認をして、少なくても公平には採点ができます。
大学の二次試験だって、採点者間で、意思疎通を図りながら、少なくても公平には採点がされることになります。(というか、そうだと信じています。)
これが、50万人の試験で可能なのでしょうか。初めから不可能でしょうよ。
そして、今回の「採点に大学生」騒動。いかに、この仕組みを実施ありきで動いている人たちが、「記述式の採点」をなめ切っているかが露呈されたと思っています。
以前読んだ朝日新聞折々のことばを引用します。
『答案はラブレターを書くように書け。実際、消しゴムで消した跡をすかし受験者の思考の道筋を探ろうとする採点者もいると。 森毅 ”ものぐさ数学のすすめ”から』
朝日新聞『折々のことば』2018/2/12より
記述式の答案を採点するというのはこういうことだと思います。採点アルバイト学生にそして文科省にその【覚悟】はあるのでしょうか?
追伸
難関大学の記述式試験と本気で戦った経験がある文科省のお役人自身が、記述式の採点を一度に50万人、しかも大学生アルバイトにというのが、どれだけ無茶苦茶な事かお分かりですよね。それとも、文科省のお役人からすれば、あの程度は、記述式って呼べないから、大学生アルバイトの採点で十分じゃない?って判断なのでしょうかね。