知の泉

地方都市で子供に携わる仕事を、20年くらいやってます。受験・子育て・教育に関することやその他自分の知的好奇心をくすぐった話題を呟いています。時々自分で食べて美味しかったもの、これ欲しいなあというものも呟いたりしてます。

定額減税:年末調整で一括減税しても大丈夫? 所得税法違反と労働基準法違反で罰金もあり!

定額減税:年末調整で一括減税しても大丈夫? 所得税法違反&労働基準法違反で罰金もありだって

定額減税の概要は次のとおりです。
1 定額減税の対象者
定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税
に係る合計所得金額が 1,805 万円以下である人です。
2 定額減税の対象となる所得税
定額減税の対象となる所得税は「令和6年分所得税」です。
3 定額減税額
定額減税額は、次の金額の合計額です。ただし、その合計額がその人の「令和6年分の
所得税額」を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
① 本人(居住者に限ります。) 30,000 円
② 同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に限ります。以下「同一生計配偶者等」
といいます。) 1人につき 30,000 円

 

この定額減税部分を給与所得者は今年(令和6年)6月以降の給与の源泉徴収額から引いていくことになります。(例えば毎月源泉徴収1万円の人は1万円ずつ3か月)

 

給与支払者側としてはそれは煩雑。

 

『どうせ年末調整するんだから、その時に一括して処理すればいいじゃん』と思ってしまいますね。

 

ところが、そうではなさそうです。

以下は2024/4/25衆議院財務金融委員会で立憲民主党の櫻井周さんの質疑からの書き起こしです。

www.youtube.com

 

立憲民主党の櫻井周です。今日も質問の機会をいただきまして誠にありがとうございます。まず最初に、所得税の定額減税について先に質問させていただきます。この6月に行われます所得税の定額減税については、源泉徴収事業者の負担が重いということは、2月の所得税の審議の中でも、この本委員会で指摘をさせていただいたところではございます。そこでおたずねをいたします。源泉所得事業者が6月の源泉徴収において定額減税を反映させないで行った場合、すなわちいつものとおり、5月と同額の源泉徴収を行った場合、これは所得税法の違反になるとは承知をしておりますが、所得税法上罰則はありますでしょうか?

国税庁星屋次長

お答え申し上げます。今般の定額減税につきましては、法令上源泉徴収事業者は、令和6年6月1日以降、最初に支払う給与等の源泉徴収から定額減税を行うこととされております。この点、委員おたずねのように、源泉徴収事業者が6月の定額減税を実施せず、年末調整に定額減税を先送りした場合につきましては、税法上の罰則は設けられてございませんが、源泉徴収事業者においては、法令に従い、適切に定額減税に係る事務を実施していただく必要があると考えてございます。

櫻井さん
罰則はどうなっていると言いました。

 

星屋次長
税法上罰則はないということでございます。

櫻井さん
一応、法律違反だけれども、罰則はないんですよ。じゃあ、年末調整で済ました方が、手間も省けていいじゃないかというふうに考えてしまいがちですけれども、しかも、私もそうですけれども、同僚議員の皆さんも、私設秘書を雇われているかと思います。源泉徴収、これをちゃんと調整しなければいけないんですけれども。じゃあ、厚生労働省に今日来ていただいておりますけれども、6月の源泉徴収において定額減税を反映させない、年末調整に先送りをした場合、これ、所得税法の違反はなるけれども、所得税法上の罰則はない。じゃあ、労働基準法上の罰則はあるのかどうか?これを確認させてください。

厚生労働省増田大臣官房審議官
お答えを申し上げます。労働基準法第24条第1項におきまして、賃金は通貨で直接労働者に、その全額を支払わなければならないこととされ、その例外として法令に別段の定めがある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができるとされているところでございます。この法令に別段の定めがある場合には、所得税法に基づく所得税の源泉徴収などが該当いたしますが、税法に基づき6月の給与での源泉徴収から定額減税をしなければならないとされている労働者に関して、これを先送りして年末調整で定額減税をすることは、6月の賃金から税法に定められた本来の源泉徴収額より過大な税額を控除することになると考えられます。こうした過大な税額の控除につきましては、労働基準法第24条第1項の例外の要件である法令に別段の定めがある場合に該当すると評価することができないことから同条違反になるものと考えられます。なお労働基準法第24条第1項違反の罰則につきましては、同法第120条によりまして30万円以下の罰金と定められているところでございます。

櫻井さん
はい。ですからこの定額減税、6月の定額減税、ちゃんと源泉徴収事業者がやらないと、所得税法上の罰則はないけれども、労基法上の罰則はあるということですので、これ同僚議員の皆さん、ぜひ気をつけていただきたいというふうに思いますし、源泉所得徴収事業者の皆さんも大変な事務負担があろうかと思いますけれども、ぜひ適切にやっていただきたいということを御案内申し上げます。

 

【まとめ】

源泉所得事業者が6月の源泉徴収において定額減税を反映させないで行った場合、つまりいつものとおり、5月と同額の源泉徴収を行った場合

所得税法上の違反になる(ただし罰則はなし)

同時に労働基準法24条第1項違反で罰則は30万円以下の罰金

 

ということなので、従業員雇って源泉徴収している皆様、面倒でもきちんと6月の源泉徴収から定額減税反映させないとだめですね。

 

しかし、これ本当に(私たちみたいな)小規模な事業者まで周知徹底されていないと思うんだけど大丈夫なのかなあ?