枝野氏「消費税5%に」という見出しは正しいのか?内閣不信任案趣旨弁明2021/6/15
20216/15内閣不信任案趣旨弁明をした立憲民主党枝野幸男氏。
90分と長いものでしたが、途中「消費税5%に減税」という言葉が入ります。
ああ、これはきっと「消費税5%に」という見出しが躍るだろうと思っていました。
・・・予想どおりでした。
では、枝野氏は実際内閣不信任案趣旨弁明でどんなことをしゃべっていたのでしょうか?該当部分に近いところを抜粋します。
「新しい政権で "支え合う"社会をつくる。」 枝野幸男による菅内閣不信任決議案 趣旨弁明 6月15日 #国会2021|枝野幸男|note
新政権では、これまで議員提出で法案も出して繰り返し求めてきたように、給付要件を緩和し対象を拡大すること、事業規模に応じた加算を検討すること、不正受給の防止の対策を施すことなどのバージョンアップを加えた上で、持続化給付金を再給付します。家賃支援給付金を含め、8兆円規模の予算を充て、速やかに事業者支援を講じます。
政府は、COVID-19の影響で納税が困難な方に対する、税の納付猶予特例制度について、当初の予定通り本年2月1日を以て打ち切りました。当初の利用見込み件数を大幅に下回ったことを打切りの理由にあげていますが、全体で60万件、額にして1.9兆円という、決して少なくない利用がありました。
厚生年金保険料等の徴収も、国税の例によるとされているため、担保・延滞金なしの納付猶予特例制度が打ち切られてしまいました。
経済状況が好転しない中では、猶予されても納付できる体力自体が中々戻ってきません。新政権では、納付猶予特例制度の延長に加えて、減免措置を創設します。
ここまで述べてきた持続化給付金の再交付などに加えて、特に、中間層を含めて疲弊している国民生活を支えるために、
一つには年収1,000万円程度の方までは実質免除となる大胆な規模で、時限的な所得税減税を断行します。
二つ目に、こうした効果が十分に及ばない低所得の皆さんには、消費税5%の負担に相当する額以上を現金給付します。
その上で、三つ目に、COVID-19による売り上げ減少の影響を最も大きく受けている飲食や観光などの事業に最大の効果が及ぶよう、当たり前の日常を取り戻すことのできるタイミングを見据えて、国会と国民の理解を得ながら、税率5%への時限的な消費税減税を目指します。
確かに「税率5%への時限的な消費税減税をめざします」と言っていますが、
「やる」とは言っていません。 (他の項目は「します」という語尾になっていますね)
この辺を読み解くために、内閣不信任案趣旨弁明当日の記者ぶら下がり会見でどう枝野氏が答えていたかを確認します。
西日本新聞です
趣旨弁明を聞いた国民の皆さんは「税率5%への時限的な消費税減税めざします」
という言葉が、そのまま立憲民主党の選挙公約のように受け取った国民の方も多いのではないか。
こうした受け止めが正しいのかどうか。
枝野氏
選挙公約でじゃなくて、政権として実現をするんですと申し上げたんです。
西日本新聞
ということは枝野内閣の約束ととらえていいんですか?
枝野氏
枝野内閣の所信表明演説でほぼ同趣旨のことを申し上げる。
西日本新聞
この5%の減税の範囲は1つ2つと別の項目も入っているわけで、いろんな条件が(聞き取れず)ともとらえられるわけですが。
枝野氏
読んでいただいた通りです。今日申し上げた通りのパッケージとして政策を打ち出します。一文だけ切り取られて扱われても困ります。
西日本新聞
では、必ずしも前提条件なく5%の時限的消費税減税を約束するわけではないということでしょうか?
枝野氏
そんなことまず、国会が参議院ねじれですから、その状況を踏まえないと。政治は現実に動きません。パッケージとして責任をもって今日所信を申し上げましたので、それをしっかりと読んでいただければ、私の申し上げたいことは明確に分かります。
枝野氏は前々から、「仮に政権を取ったとしても、参議院がねじれている状況では、自公が反対すれば消費税減税はできない。」と言っています。
つまり、消費税減税5%を錦の旗にして、仮に政権に着いたとしても約束が守れないことになるのだから、それを軽々に「約束します」とは言わないのでしょう。
(枝野氏の言っていることは従来と全くぶれていないと思います。)
そういう意味では各種報道の
枝野氏「消費税5%に」という見出しは
外れていないけど正確な見出しではないと感じます。
持続化給付金再給付、納付猶予特例制度の延長・減免措置、所得税減税、
そういった現実的にできるところから国民に約束をしていくという枝野氏の現実主義路線なのでしょう。私はそう感じました。
以上、枝野氏「消費税5%に」という見出しは正しいのか?内閣不信任案趣旨弁明2021/6/15をメモとして残しておきます。
枝野氏が述べたのは、時限的所得税減税と低所得者への現金給付をまずやる
以下、2021/6/17放送のBS11 インサイドOUTで立憲民主党枝野幸男氏がもう少し詳しく語っているので追記します。
①年収1000万円程度まで実質免税となる時限的所得減税
②低所得者には消費税5%相当分の現金給付
③税率5%への時限的な消費減税
枝野幸男氏;
コロナ対策としての、年収1000万程度までの実質免税となるような時限的な所得税減税、これが僕一番効果が大きいと、即効性があって。
で、それから消費税の税率そのものを下げるには法改正でないとできないので、現金給付先にしちゃいます。
この二つをまずきちっと先にやります。
これは所得税の減税も法改正、要るんですが、どうしても自民党が協力しなければ、これは予算措置でキャッシュバックしちゃえばいいんです。納税証明書持ってきてもらったらその金額キャッシュ払いますと、そうすればどちらも自民党が協力しなくても、すぐに法改正なしでできることを1番と2番、まずこれやります。
3番(消費税の減税)は自民党の協力がないとできないことですから、それは同じ次元では言えません。
ただ特に消費の回復期に、今、この間大きな打撃を受けてきた飲食とか観光とかイベントとかの所に対する後押しとしてはですね、他の政策も組み合わせて時限的な措置を、これは自民党にも協力を、まあ、政権が取れたらすぐに自民党に協力をを求める、ということが約束です。
つまり、枝野氏が述べたのは(もし政権が取れたら)
①年収1000万円程度まで実質免税となる時限的所得減税
②低所得者には消費税5%相当分の現金給付
これをまずやる。
③税率5%への時限的な消費減税
これは、法改正しないといけないので(参議院で多数を持っている)自民党に協力を求めていく。こういうことだったのですね。
確かに、消費税の減税を求め、それを1番に、という人もいるのでしょう。
しかし、それは仮に政権とってもすぐにはできないのだから、まずは所得減税と低所得者への現金給付までは約束する。そういう意図の発言だったんですね。
多くの給与所得者にとっては、「年収1000万円程度まで実質免税となる時限的所得減税」は大きなインパクトだと思います。
自分の給与明細見て、源泉徴収されてた所得税がそっくり返ってくるって思えば相当大きなインパクトだと思います。
また、どこまでのラインが低所得者ということなのかは別にして、消費税5%分をそっくり現金で給付されれば、これも大きなインパクトですね。
※なお、6/19の福山幹事長との対談では、
①②は(政権取ったら)今年の補正予算でやる短期の方策
③は来年の通常国会で自民公明維新に働きかけて、と述べました。
大分方針が明確になってきましたね。
立憲枝野氏「年収1000万まで所得減税」「低所得者には現金給付」消費減税にも言及
そうやって考えれば、新聞の見出しも
立憲枝野氏「年収1000万まで所得減税」「低所得者には現金給付」消費減税にも言及
こんな感じの方が、より枝野氏の真意に近かったのではと私は思います。