知の泉

地方都市で子供に携わる仕事を、20年くらいやってます。受験・子育て・教育に関することやその他自分の知的好奇心をくすぐった話題を呟いています。時々自分で食べて美味しかったもの、これ欲しいなあというものも呟いたりしてます。

GTEC・新英検どれがいいのか? 英語外部試験「高校会場(準会場)実施?」の問題点を改めて考える

 ※その後、英検2020年度実施に関しては、2019/7/2新たな発表がされていますので、最新の情報は下記をご覧ください。

kasikoi.hatenablog.com

 

GTEC・新英検どれがいいのか?

GTEC・新英検それとも他の英語外部試験、どれを受けたらよいか?あるいは高校現場であれば、どれを生徒に受けさせればよいのか?本当にどうしたらよいのか困っていると思います。

新英検『英検2020 2days S-Interview』『英検2020 1day S-CBT』『英検CBT』と現在の英検(旧英検)の違いを比較

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上の表の左端が現在行われている英検(以下、旧英検)です。これは、「Reading」「Listening」「Writing」の一次試験を受け、一次合格者が後日、対面式で「Speaking」の二次試験を受けるという形式です。

この旧英検も、例えば高校1年、2年で該当する級に合格すれば、それを条件にしている大学の推薦・AO・一般入試を受験することができたり、または英語の試験が加点されたり英語の試験が免除されたりすることになりますから、「旧英検を受けるのはムダ」ということにはなりません。

右側の3つ『英検2020 2days S-Interview』『英検2020 1day S-CBT』『英検CBT』が、これから導入されるいわゆる新英検となります。この3つが、いわゆる2020年大学入試で英語外部試験として採用されるものになります。(旧英検は、英語外部試験としては採用されません。)

また、仮に高校2年生で旧英検2級に合格していても、英語外部試験を必要とする大学を受験しようと思えば(東大含め、国公立なら全てということになりそうです)今の高校1年生は高校3年の時に、改めて新英検を受けないといけないことになります。

 

■『英検2020 2days S-Interview』

「Reading」「Listening」「Writing」のペーパー試験を受け、別日程で対面式の「Speaking」の試験を全員受けます。そして4技能の結果でスコアが決まるというものです。旧英検に最も近いですね。

・1~3級

・高校3年(高卒生など含む)のみが受験可

・2019年度から実施

⇒これは、「合理的な配慮の必要な障がいのある人」のみ受験可能に変更になっています。

 

『英検2020 1day S-CBT』

 ・「Reading」「Listening」「Writing」のペーパー試験を受け、その日にコンピュータ・タブレットでの録音式で「Speaking」の試験を受けます。そして4技能の結果でスコアが決まるというものです。

・1~3級

・高校3年(高卒生など含む)のみが受験可

・2019年度から実施

 

「Reading」「Listening」「Writing」はPC上の問題を見て紙の答案に記述する方式となりました。

詳しくは英検の体験版(準2級)も参考にしてください

英検2020 1 day S-CBT 体験版|英検2020 1 day S-CBT

■『英検CBT』

  ・「Reading」「Listening」は、パソコンで選択肢をクリック。「Writing」はタイピング入力。その日にコンピュータでの録音式で「Speaking」の試験を受けます。そして4技能の結果でスコアが決まるというものです。

2~3級

受験の年齢制限なし

・2018年度8月から実施

2018年第2回で会場は全国20か所しかない(今後増えるかどうかは不明)

GTEC・新英検の『英検2020 2days S-Interview』『英検2020 1day S-CBT』『英検CBT』どの英語外部試験を受けさせればいいのか?

こうして、新英検3種類『英検2020 2days S-Interview』『英検2020 1day S-CBT』『英検CBT』を比べてみると、生徒が慣れ親しんでいて受けやすいのは『英検2020 2days S-Interview』なのでしょうが、果たして全国の大学受験生がみんな『対面式でSpeaking』を受けるだけの試験官が確保できるか、はなはだ疑問です。また試験官の採点基準も人によってバラバラになり、公平性が保たれるとは思えません。

『英検CBT』だって、2018年2回は全国20か所しか行われせんし、例えば北海道会場は午前午後で定員合計50名、宮城会場も定員合計26名という規模です。これを全国の受験生が受験できる規模にできるとはとても考えられません。

ケンブリッジ・TOEIC・TOEFL・TEAPにしても、受験会場は全国の主要都市だけで、全国の高校で、生徒に是非それを受けなさいという指導は非現実的です。

GTEC・新英検の高校会場(準会場)という地獄の選択

こうして考えてみると、結局全国の大学受験生ほとんど全てに英語の外部試験を受けさせるとなると、残された道は、「高校自校会場」という選択か、「センター試験で使っている会場(各国公立大学等)」で一斉に何らかの英語外部試験行うかしかありません。

「センター試験で使っている会場」で年間最低でも2回となると、大学等試験会場になる側の反発は必至です。今でもセンター試験の前には、大学等の教職員が事前準備含めて、ものすごく神経を使って運営にあたっています。それに加えて英語外部試験の会場なんて引き受けてくれるとは思いません。

結局、今はそれを認めるとも認めないとも文部科学省は言っていませんが(私が知らないだけなのかも知れませんが・・・)残された選択肢は『GTEC』と『英検2020 1day S-CBT』の高校自校会場を認める!という選択しかないのではないでしょうか?

「大学入試英語成績提供システム」参加試験ニーズ調査

 現在高校現場には文部科学省のから『「大学入試英語成績提供システム」参加試験ニーズ調査』というアンケートがきているようで、大学入試に英語外部試験が必要となる現在の高校1年生が3年生になるときに、どの外部試験のどの回をどのくらいの生徒が受験することになるかという予測数字を報告するのだそうです。

恐ろしいことに、どの英語外部試験のどの回にどれくらい受験者がいるかという見積もりさえ、まだこれからというお粗末さなのです。

おそらく、この調査結果をもとに、早晩文部科学省からは、『GTEC』と『英検2020 1day S-CBT』の高校自校会場を認めるという方針が出されるのではないでしょうか。(あくまでもブログ主の私見)

 GTEC・新英検の高校会場(準会場)の問題点

英語外部試験として、GTEC・新英検の高校自校会場が認められたとすると以下のような問題点が起きてくるのではないでしょうか。

①現在のGTECのスピーキングテストでも露呈しているように、スピーキングテストでは、お互いの声が聞こえたり、機械の操作のタイミングによっては、隣の人のしゃべることが邪魔になったり、あるいは隣の人のまねをしてしゃべるといったことも可能になってしまいます。高校自校会場では、限られたスペースでの受験になるでしょうから公開会場よりずっと問題になりそうです。このへんは以下の投稿も参考にしてください。

 

※追記(2018/11/24)

その後、新英検は『公開会場』とのガイドラインを打ち出しています。 詳しくは下記の記事も参照ください。 

kasikoi.hatenablog.com

 

 

kasikoi.hatenablog.com

 ②生徒たちの将来が決まるかもしれない大事な試験。事前に届いた試験問題を盗み見する高校職員、あるいは学校が組織ぐるみで事前指導するといった不正は本当に防げるのでしょうか?

 

③2020年からは教職員ではない人が試験監督をすることになるらしいですが、それはつまり「アルバイト」が試験監督をするということ。もちろん事前に研修等はあるでしょうが、慣れないアルバイトがやるわけですから「あっ、時間が1分オーバーした」「決められた通りの試験実施にならなかった」「PC、タブレットの不具合が出た」「学校内外の騒音で集中できなかった、聞き取れなかった」・・・わざとではなくとも、いくらでも不都合は起きるのではないでしょうか?また、監督者に生徒の利害関係者がいないことをどうやって担保するのでしょう?そもそもその監督者の日当は一体誰が負担することになるのでしょうか?会場となる高校サイドなのでしょうか?

 

④そして何よりも、普段の定期試験とは比べ物にならないくらい、事前会場準備で高校教職員に大きな負担をかけることになるのではないでしょうか?

結論は「英語外部試験導入撤回」を早急に!

今までブログ主としては、「2020年大学入試改革は、色々問題はあるけど、動き出しているんだから、とにかく生徒が不安なく公平公正に受験できることを希望」という論調で意見を述べてきました。

しかし、考えれば考えるほど2020年の大学入試での特に英語外部試験導入はうまくいく気がしません。とにかくできるだけ早い段階で、英語外部試験導入の撤回をしてくれることを強く望みます。

GTEC・ベネッセの公平性の問題点

最後に、今の流れだと高校現場としては、生徒にGTECを受けさせるのが(費用の面でも、受験会場の面でも)仕方のない選択になりつつあるのではないかと思います。

しかし、GTEC運営のベネッセは同時に学校現場に教材を売る業者でもあります。GTECを生徒に受けさせるとなると、高校現場は、どう考えてもベネッセのGTEC対応(GTEC向け)の教材を購入・導入することになります。生徒はGTEC受験料を払い、教材まで買わされることになるのです。

 

生徒のためではなく、「誰かの利益ために」今の入試改革は決められて行ったりしていませんか?という大きな疑問を投げかけておきたいと思います。 

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