弘前大学・岩手大学・秋田大学教育学部各学科2019年度入試倍率を比較してみた
センター試験平均点が文系理系ともにアップした2019年度。
国公立全体の志願者数は前年比100%、東北地区の志願者も100%(いずれも河合塾調べ)
2019年度入試は、少なくても東北地区の国公立大学に関しては2018年度入試に比べて志願者は同程度だったようです。
ところが、教育学部の志願倍率に関して細かく見ていくと、弘前大学・岩手大学・秋田大学教育学部各学科2019年度入試倍率は、各大学・学科で大きく変動していたことが分かります。
弘前大学教育学部2019年度志願倍率と対前年比
2019年度 | 2018年度 | 増減% | |
学校-小学校 | 169 | 91 | 186 |
学校-中学国語 | 20 | 26 | 77 |
学校-中学社会 | 24 | 14 | 172 |
学校-中学数学 | 14 | 16 | 88 |
学校-中学理科 | 26 | 18 | 145 |
学校-中学音楽 | 3 | 3 | 100 |
学校-中学美術 | 4 | 4 | 100 |
学校-中学保健体育 | 12 | 5 | 240 |
学校-中学技術 | 13 | 8 | 163 |
学校-中学家庭科 | 10 | 11 | 91 |
学校-中学英語 | 14 | 10 | 140 |
学校-特別支援教育 | 21 | 10 | 210 |
養護教諭養成 | 34 | 30 | 114 |
前期日程計 | 364 | 246 | 148 |
上の表は弘前大学教育学部2019年度前期日程志願者数と対前年比です。
ご覧のように、前年比で大幅に志願者数が増えている学科(課程)があります。
弘前大学では、小学校・中学社会・中学理科・中学技術・中学保健体育・特別支援が大きく志願者を伸ばしていることが分かります。
学部全体でも前年比で148%という大幅な倍率アップです。
弘前大学教育学部では、特に今年二次試験科目が変更になったわけではありませんから、この志願者増はナゾです。
では、お隣の岩手大学・秋田大学の教育学部の2019年度志願倍率はどうなっていたのでしょうか?
岩手大学教育学部2019年度志願倍率と対前年比
2019年度 | 2018年度 | 増減% | |
学校-小学校教育 | 76 | 116 | 66 |
学校-中学国語 | 6 | 17 | 36 |
学校-中学社会 | 16 | 15 | 107 |
学校-中学技術 | 11 | 15 | 74 |
学校-中学家庭 | 5 | 13 | 39 |
学校-中学英語 | 8 | 10 | 80 |
学校-中学音楽 | 5 | 2 | 250 |
学校-中学美術 | 3 | 5 | 60 |
学校-中学保健体育 | 10 | 13 | 77 |
学校-数学 | 14 | 19 | 74 |
学校-理科 | 16 | 17 | 95 |
学校-特別支援教育 | 7 | 13 | 54 |
前期日程計 | 177 | 255 | 70 |
上の表は岩手大学教育学部2019年度前期日程志願者数と対前年比です。
弘前大学教育学部と一転して、岩手大学教育学部では志願者が大きく減少していた学科(課程)が目立ちます。岩手大学教育学部前期日程全体でも対前年比70%の志願者でした。
秋田大学教育学部2019年度志願倍率と対前年比
2019年度 | 2018年度 | 増減% | |
学校-教育実践 | 69 | 77 | 90 |
学校-英語教育 | 13 | 24 | 55 |
学校-理数教育 | 52 | 30 | 174 |
学校-特別支援教育 | 48 | 53 | 91 |
学校-こども発達 | 42 | 151 | 28 |
地域文化 | 210 | 214 | 99 |
前期日程計 | 434 | 549 | 80 |
上の表は秋田大学教育学部2019年度前期日程志願者数と対前年比です。
理数教育は志願者を増やしていますが、英語教育・こども発達が志願者を減らし、秋田大学教育学部前期日程全体では対前年比80%の志願者でした。
こうしてみると、北東北三県の弘前大学、岩手大学、秋田大学の少なくても教育学部に関しては、秋田大学・岩手大学から弘前大学に志願者が流れ、結果として弘前大学教育学部の倍率がアップしたのではないかという推測ができます。(厳密にいうと、北海道勢が弘前大学に大きく流れたのかもしれないので、その辺の影響はよく分かりません・・・)
センター試験後のベネッセ・河合塾等の動向報告会の影響?
実は、センター試験終了後、毎年ベネッセや河合塾は、「動向報告会」というのを各高校・予備校の先生を集めて行います。
残念ながら、今年の動向報告会の様子は私の耳には入ってきていません。したがって、2019年度の弘前大学の教育学部の志願者増に、「動向報告会」の影響があったのかどうかは私は分かりません。
ただ、一昨年の「動向報告会」では、
「東北大学レベルをめざしていた生徒が、センター試験終了後にいきなり東北地区の地元の大学に志望校を落とすのでなく、新潟大学くらいが志望校の変更先として良いのではないか」
ということをしきりに話していたそうです。
その結果かどうかわかりませんが、東北地区のある進学校では、例年数名しか新潟大学に進学しないのに、2018年度入試では一挙に20名以上の合格者を出しています。
そういった例もありますから、特に学科が分かれて募集される教育学部は、ほんの少しの動向分析、それを受けた生徒の動きが、大幅な志願者の増減・倍率の増減につながることもあるのかもしれません。
首都圏中心の私大入試の難化、2021年度からの大学入試共通テスト導入で浪人しづらいというプレッシャー・・・
どこの大学・学部を志望している生徒も、初心は貫いて受験していくことはもちろんですが、細かく各大学の情報・情勢は分析していくことが必要かもしれません。