9月入学の実現可能性~今後の政治日程・どんな政府の思惑・利権があるのか~9月入学問題は超党派での議論を望みたい
高まる9月入学の可能性
以下は、ここ数日の9月入学に関する記事からです。
1つ目の案は、今まで通り、4月から3月末生まれという区切りを変えないまま、入学や進級の時期だけを9月に変更するプラン。
この場合、入学が5カ月遅れるため、学校教育が後ろ倒しになるとともに、最も遅いケースでは、7歳5カ月で入学する子どもが出てくることになる。
2つ目の案は、9月から翌年8月末までに生まれた子どもを対象にするプラン。
この場合、2021年度に限っては、次の年の4月から8月生まれの子どもが繰り上がる形で入学するため、17カ月分、1.4倍の数の子どもが集まることになる。
3つ目は、それらの問題に対応するため、入学する子どもの生まれ月の幅を当面、従来の12カ月間から13カ月間に増やすプラン。
2021年に入学するのは、4月2日から翌年の5月1日生まれの13カ月間の子ども。
2022年からは、さらにひと月ずつずらしていき、5年かけて移行する案。
5/18 FNN PRIME
自民党が設置した「秋季入学制度検討ワーキングチーム(WT)」の第1回役員会が12日、党本部であった。政府は6月上旬をめどに論点や課題を整理する方針で、WTは5月末~6月初旬に政府への提言をまとめるという。
(中略)
柴山氏は「学校が再開できるかどうかによって結論が変わってくる可能性がある」とも述べた。WTは週2回程度開き、教育関係者らへの意見聴取もする。「結論を今の時点で決め打ちはしないが、単純な両論併記や課題の羅列にはしない」とし、一定の方向性を持った提言を出すという。
5/13朝日デジタル
「9月入学」をめぐり、文部科学省は来年入学させる小学新1年生を9月時点で満6歳となっているすべての子どもたちとする場合と、そうでない場合の2つのパターンを例として、関係する各省庁の事務次官らが出席する会議に提示し、今後、具体的な課題を検討していくことになりました。
5/19 NHK WEB
今日の時点で、上記の FNN PRIMEに掲載されていた第1案(4月から3月末生まれという区切りを変えないまま、入学や進級の時期だけを9月に変更するプラン)は消えたようです。
あたかも「9月入学」が既定路線になったかのような検討で、
「(短くなった残り期間で工夫をして)従来通り4月入学」というプランがどこにも見当たらないことです。
少なくても政府与党は9月入学の実現に向けて動き出しているとしか感じられません。ますます9月入学の実現可能性が高まってきているのではと思います。
9月入学の実現可能性と今後の政治日程
今後の政治日程を確認してみます。
現在行われている通常国会の会期は 6/17まで
東京都知事選 告示6/18 投票7/5(都議会議員補欠選挙も7/5投票)
検察庁法案改正を含んだいわゆる束ね法案が継続審議となる予定で、国会は5月後半にかけて第二次補正予算案に焦点が移ります。種苗法改正という重要な審議もあります。
仮に、自民党の秋季入学制度検討ワーキングチーム(WT)から5月末から6月頭にかけて、「9月入学推進」の提言があったとして、会期末までに9月入学実施のために必要だという33本ともいわれる法案を一括して審議して今国会の会期末までに決着がつくとは思えません。
また、一方で、国会が長引けば政府与党としては追及されたくない話題もあるでしょうから、会期の延長も考えづらいのではないかと思います。
考えられるのは
「来年から9月入学にします」との結論だけ発表し、
「関連する法案は秋の臨時国会(または閉会中審査)で審議します」
(あるいは最悪「9月入学の是非を問うために解散総選挙」)というパターンです。
9月入学問題の議論の難しさ
この「9月入学問題」の難しいところは、「9月入学賛成」も「9月入学反対」も、自分の意見と反対の人の気持ち・意見に100%反論することが難しい点だと思っています。
色々考えた末に、自分は「9月入学賛成」と思っても、
『もうこれ以上私たち受験生を振り回さないで』
『学校現場をこれ以上混乱させないで』
という声に反論することは難しいと思います。
逆に自分は「9月入学反対」と思っても
『私たちの失われた学校生活、学びの機会を取り戻させて』
『第2波、第3波のコロナ蔓延の可能性のある冬場の1月に共通テストできるんですか?』
という声に反論することも難しいと思います。
仮に与党・政府が「9月入学実施します」と方針を発表した場合
(考えたくないですが、『9月入学賛成かどうか問うために衆議院を解散します』という場合を含め)野党はどう立ち振る舞うのか、私たち有権者はそれをどう判断すればよいのか、本当に難しいところです。
9月入学実現可能性 どんな政府の思惑・利権があるのか
9月入学の実現で、政府与党にはどんな思惑があり、あるいはどんな利権がらみの可能性があるのでしょうか?
以下は私の全くの私の妄想です。
検察庁改正法案の問題で支持率が低下した政府与党の中には、国民が様々な都合の悪いことを忘れてしまうように9月入学をぶちあげる、という考えも政府の中にはあるのかもしれません。
今回のコロナの影響で、今後失業率が高く推移する可能性があります。
噂される9月入学の実現で、本来、来年4月に卒業就職する学生が9月就職となれば、来年4月から9月には一時的にせよ人材不足が発生します。
これにより、一時的にせよ失業率上昇を抑える効果があると考えても不思議はありません。
もちろん、半年間の雇用不足ですから、その多くは派遣労働者の雇用となるでしょうから、派遣に絡む会社の大きな利権が生ずることになると思います。(あそこ絡みですね・・・)
また野党の間でも、9月入学が現実的だと発言している国民民主党玉木さんと、比較的慎重な立憲民主党、共産党とで立場が分かれているように感じます。政府としても、野党サイドで賛否が割れればそれに越したことはないと思っても不思議はありません。
こういった政府の思惑によって、様々な困難を押し切ってでも9月入学を実現させようとする可能性は大いにあるのかもしれません。
9月入学は超党派での議論を望みたい
7/5の都知事選で「9月入学賛成の立場」の小池さんが「コロナが小康状態になった実績」と「9月入学」を引っさげて選挙戦に臨む可能性があります。
非常に残念ですが、「9月入学」が政争の具になる可能性が高いと感じています。
報道の通りに
自民党の秋季入学制度検討ワーキングチームが6月初めに政府に9月入学を提言
⇒
それを受けて政府が電撃的に9月入学の方針を決定・発表
という流れになれば、もう後へは引き下がれません。賛否はともかくとして現場はその流れで動き出し始めざるを得ないからです。
もちろん現在の「ひょっとしたら9月入学になるの?」という疑心暗鬼状態の受験生のことを思うと、9月入学の議論が出始めた以上は早急に結論は出すべきです。
しかし、それは与野党関係なしに、「どうすることが生徒たちのためになるのか」を一義に論じ結論を出すべきことです。(萩生田文科大臣の最近の答弁では、この姿勢が強く出ているとは感じてはいます。)
政府・与党のみで結論を出してしまってからではなく、今の段階で「与野党合同の超党派の検討委員会(もちろん、9月入学ありきではなく)」を作り、様々な視点から意見をぶつけ合い結論を出すべきだと考えます。
9月入学問題の実現可能性について、決して政府の思惑・利権で動いて欲しくないですし、政争の具にすることなく超党派で、もちろん「(短くなった残り期間で工夫をして)従来通り4月入学」というプランも含めての議論を望みたいと思います。