知の泉

地方都市で子供に携わる仕事を、20年くらいやってます。受験・子育て・教育に関することやその他自分の知的好奇心をくすぐった話題を呟いています。時々自分で食べて美味しかったもの、これ欲しいなあというものも呟いたりしてます。

【教員免許更新制廃止で気にかかること】~手放しで喜べない理由~「民主党になってから酷いよね」って言うから教員免許更新制度成立当時のことも調べてみた

 「教員免許更新制度廃止の方向に」文科省来年の法改正を目指す方針

朝日新聞デジタルの報道によると

 教員免許に10年の期限を設け、更新時の講習を受けないと失効する「教員免許更新制」の見直しを議論している中央教育審議会の委員会が24日開かれ、とりまとめ役の加治佐哲也・兵庫教育大学長が、制度の廃止も検討していることを明らかにした。次回の委員会で存廃の結論を出す予定。

www.asahi.com

 

2021/7/11追記

文部科学省は、教員免許に10年の有効期限を設け、更新の際に講習の受講を義務づける「教員免許更新制」を廃止する方針を固めた。との報道がでました。

 

mainichi.jp

 

教員免許更新制廃止で気にかかること~手放しで喜べない理由~

長年、教員の免許更新にかかる時間と費用の割には効果は薄いのではないかと言う批判があっただけに、ネット上では歓迎の意見が多いようです。

 

一方で個人的には気にかかる問題点もあります。

 

教員免許更新制度廃止 問題点はないのか?

教員免許更新制度廃止 問題点はないのか?

上記の毎日新聞の記事では

文科省は免許更新講習に代わる教員の資質向上策として、オンラインなどを通じた研修機能の強化を検討している

とも伝えています。

 

場合によったら、

教員の資質向上策として、どこかの企業に丸投げの研修制度

がいつの間にか出来上がってしまう危険性もあります。

 

またしても、効果の薄い制度のためにどこかの企業だけが儲かる仕組みが画策されているとしたら、もうそんなのは御免です。

 

現在の免許更新制度が廃止されることには賛成ではあります。

しかし、

「教員の資質向上」とはそもそも何か。

そのためのに研修が必要だというのであれば、どのようなことが必要なのか。

それをどこが行っていくのか。

 

そういったことを時間をかけて、公開された場でしっかりと吟味し、新しい制度を作っていって欲しいと思います。

 

そんなことが気にかかり、個人的には「教員免許更新制度廃止へ」という記事を手放しで喜ぶ気持ちにはなれなかったのでした。

 


以下は以前の記事です。

「教員免許更新制度、民主党になってから酷いよね」って言うから教員免許更新制度成立当時のことも調べてみた

実は教員でもある私のパートナーからは、

この教員免許更新の話になると

「本当にやめて欲しいよ。費用は自腹だし、自分の休みを使っていかないとダメだし」

と今までずいぶんと愚痴を聞かされてきました。

 

そして彼女は最後には決まって

「民主党になってからの教員免許更新制度酷いよね」

って言うのでした。

 

今までは「へー、そうなんだ」って流してましたが、

今回教員免許更新制度の成立時のことが気になって調べてみました。

 

教員免許更新制度(改正教育職員免許法)は平成19年6月成立で平成21年4月から教員免許更新制が導入

教員免許更新制度(改正教育職員免許法)は平成19年6月成立で平成21年4月から教員免許更新制が導入でした。

 

平成19年6月だとまだ第一次安倍内閣ですね。

教員免許更新制度が始まった平成21年4月は麻生内閣。

 

そしてその平成21年9月に民主党鳩山内閣が成立。

 

教員免許更新制度を作ったのは民主党じゃなく、自民党ってことですね。

 

私のパートナーにとっては、

面倒くさい免許更新をした時には民主党政権がスタートしたタイミング。

 

「彼女が教員免許更新したのは民主党政権になってからで、教員免許制度作った(と勘違いした)民主党は酷いよね」

って記憶・論理にすり替わってしまったのでしょう。

(彼女が、ガチガチの自民支持者ってことではないので、野党だから批判をしていたってことではありません。)

 

人間の記憶って当てにならないものですね。

 

教員免許更新制度について民主党の立場は?賛成だった?反対だった?

今のように国会をネット中継で追いかけるなどという習慣がなく、私も当時の経緯は知りませんでした。

 

教員免許更新制度について民主党の立場は?賛成だった?反対だった?という疑問もわき、その辺も国会議事録で検索してみました。

 

結論から言います。

 

当時の民主党は教員免許制度を含む教育三法案に明確に反対の立場でした。

 

当時の民主党は,

文教委員会の与党の強行採決に対して文教委員長の解任決議案を出し、

水岡俊一さん蓮舫さんが解任賛成の討議。(反対多数で否決)までしています。

 

また那谷屋正義さんが政府提出の教育関連三法案に反対の討議をしています。

 

平成19年6月20日参議院本会議議事録那谷屋正義さんの発言より

国会会議録検索システム

 

教員免許法案についてであります。
 更新講習の内容や修了認定基準、わけても教員にとっては死亡宣告にも等しい認定未了にかかわる基準の在り方、さらには、講習免除対象者、障害を持つ教員の更新の在り方、更新に係る費用や服務の問題等々、肝心の部分がすべて政省令にゆだねられるなど、行き先知れずの海図のない航海にもかかわらず、免許失効という引き金に指を掛けた上での、文字どおりの絶対服従を強要する内容となっています。これは決して容認できるものではありません。

 

その後の民主党政権で、教員免許更新制度は廃止には至らなかったのは事実です。

 

が、少なくても当時民主党は教員免許更新制度に反対の立場で、

「教員免許更新制度、民主党になってから酷いよね」ってのは誤解であり、

教員免許更新制度を強行採決までして導入したのは当時与党の自民党安倍政権(wikiによると教育再生会議が教員免許更新制を提言)であったということはパートナーに伝えたいと思います。

 

以上、ひょっとして私のパートナーと同じように「教員免許更新制度、民主党になってから酷いよね」と思っている人がいるといけないので調べたことを残しておきます。